【旧型肺炎(?)入院日記】#1
・コロナの感染対策には万全を期していたが突然の高熱に見舞われ、あれよあれよという間に入院生活になってしまった人のおはなし
体に異変を感じたのは、5月31日月曜日。
喉に違和感があり、軽い咳が出始めた。この時点では熱もなく、食欲もあり、この先自分に待ち受けているものが何なのかなど予想だにしていなかった。
普通に仕事を終え、普通にお酒を嗜もうとしたら…
「あれ? なんだろうか? 飲みたくない…」
体が明らかにアルコールを拒絶していたため、もはやそこそこにして早めにベッドに入ったのだが、思えばこの時わたしはすでに、地獄の入り口に立つケルベロスの六つのまなこにガッツリ睨まれていたのだった。
寝ようにも咳がこみあげてきて眠れないし、こみ上げてくる咳をするたびに頭が割れるように痛い…。
体を横にしても縦にしても辛い…。
何をどうしたって辛い…。
まるで眠れないので、眠るのを諦めてスマホで気になる言葉を検索しまくっていた。
ちなみに検索履歴は
「コロナ 症状」
「コロナ 治療」
「コロナ 薬」
「コロナ ビール」
もう最後らへんなんてわけわからんもんね ビールってなんだよビールって!! ってくらいに追い詰められていたのだった…
そうしてついに一睡もできぬまま朝を迎えたわたしは見かねた親に連れられかかりつけのお医者さんに行くことに。
しかしもちろんいつも通りの診察をしていただけるはずもなく、ものすごい厳戒態勢が取られ(当然である)、車から一歩も外に出ることを許されず、防護服を着た看護師さんにさまざまな種類の綿棒を鼻の穴に突っ込まれてはグリングリンにかき乱されること数回、それから車の中で待つことおよそ30分。
不安な時が過ぎていく…
そして、母親の携帯が鳴り各種検査の結果が告げられた。
「はい。 はい。 ありがとうございます。はい」
何を話しているのかはわからないが、どんな結果だったのかはわかる応対をしてくれるノットポーカーフェイスな母でよかったとこの時ほど思ったことはない。
「抗原検査も陰性だったって!」
「よかったぁぁぁぁぁぁぁ( ;∀;)(知ってたけど)」
その日処方された薬を飲みベッドに入るも咳は止まらず、夜中起きるたびに悪寒はするし、熱も上がっている気がして、計るのが怖かった。
もし熱が上がっていたら「陰性」という言葉の魔法がしゅわわわっと消滅してしまいそうな気がしていた。
陰性の言葉に安堵しながらも、襲い来る症状すべてが新型のあいつの症状と酷似しすぎていることに、わたしの脳内にはある一つの言葉がひょこっと顔を覗かせていた。
そう。 それは。 「偽陰性」…
つづく