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なぜ、私が「リハビリテーション科」医師となったのか? その3

皆さん、こんにちは。今週末はいかがお過ごしでしょうか?
さて、今日はいよいよ私がリハ科を志した3つ目の理由についてお伝えして参ります。

3つ目の理由とは…
『あまり薬について頭を悩ませる必要がないから』
になります。

医療現場に薬は付き物だろう、と多くの方は考えるかも知れませんが、本当にそうでしょうか?確かに一刻を場面においては、薬の投与がより多くの人の命を救ってきたのは、言うまでもなく事実でしょう。しかし、現代では必要以上に薬が使われていると感じるのは、恐らく私だけではないと思うのです。

医療では不可分とされる「薬」

まず、薬の役割について考えてみましょう。そもそも、大半の薬はあなたの病気を治すためではなく、症状を抑えるためのものです。症状とは、大なり小なり不快なものですね。ただ、症状というものは本来、心身の不調を伝える体からのメッセージなのです。ですから、薬を飲んで症状を抑え込むということは、自身の体に嘘を吐くことに等しいのです。勿論、どうしても薬が必要な場面はあるでしょうが、それを続けていたらどうなるでしょうか?

あなたは幼少期、親や教師から次のように言われた経験はありませんか?
『嘘は、必ず大きくなる』
『嘘を吐き続けても、いずれは必ずバレる』
もうお分かりですね。薬に頼ってばかりいると、知らぬうちに身体を蝕むこととなり、取り返しのつかない事態に陥ることもあり得る訳です。しかし、今でも大半の日本人(特に高齢者)は、病院やクリニックに行く度に薬をありがたがってもらいます。また、医者も今なお不要な薬を出したがる場合が少なくありません。人には「嘘を吐くな」と言いながら自分がこれでは、説得力はゼロですね(笑)。

それに加え、大半の薬は複数の副作用を伴い、それが命に関わることもあり得ます。また、ある薬を別の薬と同時に服用することで新たな副作用を生じることもあるのです。言わば、同時に飲む種類を増やせば増やすほど、副作用を生じるリスクも掛け算で増えていく訳ですね。医師はその点も考慮に入れつつ、患者さんの状態に応じて処方薬を調整する訳ですが、全ての可能性を網羅するのは、はっきり言ってほぼ不可能なのです。

私は、日々病院のカルテを見ていると、所謂ポリファーマシーと呼ばれる非常に多くの薬を同時に内服している患者さんにもしばしば出会します。しかし、その方達の中には、無自覚のうちに副作用に苛まれている者も確実にいることでしょう。

実を言えば、私は学生時代にこれらの問題点に勘付き、薬に対して嫌悪感すら抱いていました。そんな私には、安易に薬を出したり、ましてや薬の調整のために神経を擦り減らしたりなど到底耐えられるものではありません。そのような経緯もあり、私は内科として一度はキャリアを始めたものの、最終的には薬をあまり扱わないリハビリテーション科に落ち着いた訳なのです。

今では、幸い自ら薬を処方する場面はごく限られているものの、上記のような事態を憂いているのに変わりはありません。これからも人々の意識を変えていくべく、発信を続けて参ります。

長くなってきたので、本日はここまでにしたいと思います。
ではまた!

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