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あなたの知らない「網戸」の世界


かつて日本では蚊帳が利用されてきました。家の中に網を張って虫から身を守ります。ただ蚊帳は夜になるたび吊り下げてセットしなければならず、手間がかかります。そんな背景もあり、昭和ごろから普及しだしたのが網戸です。網戸により蚊や蠅に侵入される心配なく、快適に風を取り入れられるようになりました。今回はその網戸に関する特集です。


その窓の開け方、まちがいです!~虫の侵入を防ぐ網戸の正しい使い方

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網戸をしているのに、なぜか家の中に虫が侵入してくることはありませんか?
網戸は虫の侵入を防ぎ、快適な風を部屋に取り込んでくれます。
最近は網戸も進化していて、丈夫で小さな網目の製品や、虫が寄りつきにくい素材で作られた製品も販売されていますが、それでも虫は部屋に侵入してきます。
網戸をしっかり閉め、しかも破損がないのに、なぜこのようなことが起こるのでしょうか。
じつは、窓の開け方や網戸の位置が大きく関係しているのです。

右図は、網戸や窓を上手に使用している例です。
窓を全開にしていますが、網戸と窓のフレーム部分が重なって虫の侵入経路を防いでいます。

いっぽう、下の図は網戸を閉めながら窓を半開きにしているケースです。

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一見、窓を全開にするよりも、虫の侵入が少ないように感じられますが、実はこの使い方はNGなんです。
窓と網戸の間にすきまがうまれ、虫が入りやすくなっています。
よくやってしまいがちな窓の開け方ですが、これでは「虫を防ぐ」という網戸の持ち味が半減してしまいます。

ただ、窓が半開きの場合でも、その下の図のようであれば大丈夫です。
網戸と窓のフレーム部分が重なって、きちんと虫の侵入経路を防いでいるのがわかります。

あなたの家の窓の開け方を、ぜひ確認してみてください。
今年の夏は網戸や窓を上手に使い、虫の侵入を防ぎましょう!

網戸張り替えの基礎知識


網戸は、暖かい季節になってくると窓を開ける機会が増えるので特に必要になります。
網目状のメッシュがあることで虫やゴミの侵入を防いでいますが、破れてしまったり、壊れた場合はどうすればよいのでしょうか。

網戸張替えのタイミング

網戸は毎日紫外線や風雨にさらされているため耐用年数は約3年~5年と短く、張替えのタイミングが何度もやってきます。
耐用年数が経っていなくても、下記のような症状があれば張替えのタイミングです。

・網戸に穴が開いている
・網目が破れている
・網がたるんでいる

上記のような症状があると、蚊帳や蠅などの虫やゴミが入ってきて網戸の役割を果たしませんので、網戸の張り替えをご検討ください。


網戸を選ぶポイントはたったの2つ!

網戸張替えの際、網戸を選ぶポイントは主に下記の2点を抑えておけば選びやすくなります。

1. 網戸の素材

網戸には一般的4つの素材が使われます。


ポリプロピレン 耐用年数 5~10年程度

・軽量で、耐熱性、耐薬品性に優れている ・とにかく安く張り替えたい


ポリエステル  耐用年数 10年程度

・ポリプロピレンよりも強度がある ・ペットがいるご家庭

グラスファイバー  耐用年数 10年程度

・耐熱性に優れている ・日差しの強い部屋
・ポリプロピレンの約2倍の強度 ・キッチン周り

ステンレス 耐用年数 15~20年

・耐久性、耐候性に優れている ・ペットがいるご家庭
・防犯性が高い ・防犯性を高めたい場所
・高価  

※設置環境や使い方によって耐用年数は異なります

最も安価なポリプロピレン製の網戸は0.5万円~1万円程度、最も高価なステンレス製網戸であれば3万円~10万円程度が素材の価格相場です。
商品価格だけで網戸を選んでしまうのではなく、耐用年数や素材の特徴によって長い目で見てどの素材が適切かを判断して検討しましょう。
また、キッチンなど火気を扱う場所では耐熱性・耐火性を重視して安全性を考慮した素材を選択することも大切です。
4つの素材の主な特徴などを一覧にしましたので網戸を選ぶ際のご参考になさってください。


2. 網戸のメッシュの大きさ

網戸に使用される網は「メッシュ」という単位で表記されており、このメッシュの大きさが虫対策や部屋の明るさ、網戸の耐久性に大きく関わってきます。
メッシュの大きさは18メッシュから40メッシュまであり、それぞれの目の大きさは以下の通りです。

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虫対策で網戸を選ぶなら?

一般的な虫の大きさは、蚊で2~5mm、ハエで5mm~10mmと言われていますので、18メッシュであればこれらの虫の侵入は防げることになります。

ただし、ノミやダニなどのより小さな虫や小さなほこりなどの侵入は許してしまいますので、虫は絶対に入れたくないという場合はメッシュの目が細かいものを選ぶと良いでしょう。

また、メッシュの目が細かくなるほど室内は暗くなり風通しも悪くなりますので、明るさや風通しを重視されるなら。メッシュの目が大きなものを選ぶと良いでしょう。

網戸の張り替えはDIYでも可能?

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網戸の張り替えは道具さえあれば簡単で、DIYで張替え作業をされる方も多いです。
ホームセンターなどで2千円程度で網戸張替え用の工具キットが販売されていますので、網戸と同時に購入してDIYにチャレンジしてみても良いでしょう。

★準備するもの

・網戸用ネット
・網戸クリップ
・ローラー
・網戸用押さえゴム
・網戸用カッター

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★網戸張替え手順

1.網戸用押さえゴムを外して古い網戸ネットを取り外す。
2.新しい網戸ネットをサッシより少し大きめに切る。
3.サッシと新しい網戸ネットを網戸クリップで留める
4.網戸用押さえゴムをサッシの隅から枠に沿って押し込んでいく。
5.網戸用押さえゴムを押し込み終わったら余っている網戸ネットをカットする。

網戸張替え手順は簡単ですが、網戸を外して取り付けたり、網戸ネットをピンと張って網戸用押さえゴムを押し込んでいく作業は、うまくできない方もいらっしゃると思います。
そんな時は無理せず、業者さんに依頼しましょう。


便利な最新の網戸の情報

素材や技術が進歩して、様々な機能を持つ網戸の製品が登場しています。ニーズに合わせて網戸を選びましょう。

通風を維持しながら小さな羽虫もシャットアウト

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規定サイズの網目より小さい虫の侵入は防げない、というのが網戸の「常識」でした。
ところが最近では様々な規格の網戸が登場しています。※写真の左側
なかには「目の細かさが従来の最小規格の半分程度」というものも。
目を細かくすると風通しが悪くなりそうですが、従来よりも細い糸を使用しているため、通風はこれまでの網戸と遜色がありません。
また、虫が苦手という人のなかには、「網戸に虫が付くのも嫌」という人もいます。
そんな人にお勧めなのが殺虫成分入りの網戸です。
糸に練り込まれた殺虫成分が、灯りに惹かれた虫が網戸にとりつくのを防ぎます。

「破れない」「汚れない」網戸でメンテ要らず

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ネコなどのペットを飼っている世帯では、「ペットの爪でひっかかれて、すぐに網戸が破れてしまう」というのが共通の悩みでした。
ネコの爪は鋭く、クロスや柱などもボロボロにしてしまうほど。樹脂製の網戸などはすぐに破損してしまいます。
そんな悩みを解消するのが、ステンレス製の網戸です。
樹脂製の従来品に比べてコストはかさみますが、耐久性が高く、貼り替えの頻度を抑えられます。
また、ナイフなどを使っても簡単に破れないことから、防犯性が高いのもステンレス製網戸の特徴です。
樹脂製に比べて汚れが付きにくいこともあり、海外ではよく使われています。

視線や熱も網戸でコントロール

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窓を開ける機会が多い夏場は、外からの視線が気になるシーズンです。
表裏の色を変えることで、視線をコントロールする機能を持つ網戸もあります。
外側は光を反射する銀色、内側は光を吸収する黒というように色分けすれば、外からは屋内が見えにくく、屋内からは外の様子がよく見えます。
同様に、光を反射するようコーティングされた網戸には、太陽光の熱や紫外線を反射できるものもあります。
夏場の太陽光には、非常に強い熱エネルギーが含まれています。
しかし、遮熱性能がある網戸を使えば室内に入る熱量も軽減できます。

雨も花粉も通さない網戸も登場!

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ガラス窓を閉め切ることなく網戸を利用する最大の理由は「風を通すこと」です。
そのため、雨や花粉、黄砂などの微少物質が入るのは仕方がないと考えられてきました。
ところが、最近では網戸の素材開発が進んで、これらをシャットアウトするほどに目が細かい商品も登場しています。
『クロスキャビン』と呼ばれる製品は、1/160という従来の網戸に比べても際立つ目の細かさが特徴で、雨滴や花粉を通しません。
小雨なら窓を開けたままでも室内が濡れることはなく、汚れが付いても水洗いするだけで落とすことができます。
目が細かい分、通風は従来品の50~30%とやや落ちますが、網戸により風が弱まるため強風の日に窓を開けることができるなどのメリットもあります。

網目を通る小さな虫の対策や汚損、外からの視線など、従来の網戸は様々な問題を抱えていましたが、「網戸とはそうしたもの」とあきらめて利用するのが一般的でした。しかし、技術の進歩でこれまでの課題をクリアした商品が多数登場。夏を快適に過ごしたい方は、まずは網戸の入替を検討してみるのもいいですね。

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