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ファスト消費に対抗する「エシカル消費」って

ファストファッション(短いサイクルの流行をつくりながら、低価格に抑えた衣料品を大量生産・販売)やファストフード(手軽で低価格な高カロリー食品を大量に販売)に対抗して、エシカルファッションやエシカルフードのように、『エシカル消費』と呼ばれる行動が徐々に人気を集めています。今回はファッションに絞り込んで、このムーブメントを紹介します。

エシカルファッションの直訳は「道義にかなったファッション」「道徳的なファッション」。つまり良識にかなったファッションです。
その服を生産した人も、着ている人もそれなりにハッピーになれるもの、と言えばいいでしょうか。

ファストファッションは、それを作っているメーカーや消費者の利益を追求したものですが、生産している後進国の労働者や、環境に多大な犠牲を強いています。


エシカルマインドで消費者に「胸のすく想い」を味あわせたジーンズのリーバイス社

ジーンズで有名なリーバイス(Levi's)社は、アメリカで1971年に上場しました。
同社は発展途上国に契約工場を持っており、早くから児童労働の回避を含むガイドラインを制定していましたが、1992年、バングラデシュの契約工場で13歳の女の子たちが働いていることが明らかになりました。

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この時リーバイス社がとった方針は、その子たちの解雇ではなく、当該工場との取引停止でもなく、「現地に学校を作り、子ども達を通わせて就労年齢に達してから再雇用する」というものでした。

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工場との取引停止やその子たちの解雇では、農村から出て来た子どもたちの現金収入がなくなり、村に帰れなくなります。そこで同社は工場内の寮に教室をつくり、先生を雇って教育を受けさせました。
費用はすべて同社持ちです。そして、その子たちが卒業後に「働きたい」という希望があれば、また雇うことにしました。
しかしこの方針に対してリーバイス社の株主からの批判が相次ぎました。
「学校を建てるほど資金があるなら、株主により還元するべきなのではないか」という批判です。
こうした批判を受けたリーバイス社は、同社会長が追求する人権保護や差別撤廃、環境保全などといった社会的責任を追求する経営を貫くため、「株主利益に左右されない企業になることを選択する」として、創業家によるMBO(経営陣による株式の買取)を行い、アメリカでの上場を止めました。
リーバイス社は、このエピソードによって多くの消費者の支持を得たことは言うまでもありません。

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エシカルファッションとは何か?

エシカルは英語のethical で、「倫理の、道徳上の」という意味です。
例えばエシカルな食品の代表と言えば、フェアトレード・コーヒーです。

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数年前からスーパーのコーヒー豆売り場で、従来からあった無農薬や有機栽培コーヒーの隣あたりで見かけるようになりましたね。

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フェアトレードとは発展途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入することを通じ、立場の弱い途上国の生産者や労働者の生活改善と自立を目指す運動です。

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エシカルファッションの場合には、こんな要素が考えられます。

1.生産による環境への負荷ができるだけ少ない服
ファストファッションの場合、大量の服を一気に作ることを何回も繰り返すので、環境に大きな負荷がかかってしまいます。
服を工場で作ると、どうしても環境汚染をしてしまいます。
染料を川に流したり、繊維の原料(綿花など)に殺虫剤や化学肥料をかけたり、輸送するトラックから排気ガスが出たりします。こういう環境汚染をできるだけしないで作った服がエシカルと考えられています。

2.労働者の基本的人権を尊重してできた服
ファストファッションの値段が安い理由はいろいろありますが、一番の理由は作っている人の人件費が安いからです。
安い服は、賃金の安い発展途上国(バングラデシュ、ビルマなど)の労働者が作っています。
コストを安くあげるため、工場の施設は劣悪で、労働時間も長く、子どもも労働力として導入されています。
人にも環境にも極端な負担をかけず、服を作っている人や販売している人も、消費している人もみんなに公平な満足感が提供されることを目指すのがエシカルファッションです。
似たような言葉にスローファッション、エコファッションがありますが、エシカルファッションは、より社会貢献的な要素のあるムーブメントなのです。


お金をかけずにエシカルファッションを取り入れる方法

リーバイス社のような、消費者にとって胸のすく想いを味あわせてくれるエシカルな志(こころざし)を持つ企業はまだまだ少なく、株主のご機嫌を取るためなら何でもする、というファストマインドな企業が圧倒的な多数を占めています。
一番の理由は、ファスト指向のほうがずっと値段が安いからです。消費者は安いものが好きです。
とはいえ、いくらおしゃれをしたくても、環境や貧しい国の人をないがしろにはしたくないものです。自分の利益ばかり追求していると必ずしっぺ返しをくらいます。

では、お金をかけずにエシカルファッションを追求するにはどうしたらいいのでしょうか?


1.エシカルファッションというものについて意識的になる

自分の服がどんなふうに作られているのか少し考えてみることです。
最近は、雑誌や新聞でもエシカルファッションに関する情報を伝えている記事が多いので、ちょっと読んでみるといいでしょう。


2.本当に必要な服しか買わない

安い服をシーズンごとに買って、使い捨てるのではなく、少ない服を知恵と工夫で着こなしましょう。多くの人は、実際に必要な服の何倍もの服を持っています。
本当に必要な服を見極めるためには、まずは不用な服を捨てることから始めるのがいいと思います。
ゴミ箱に捨てるのではありません。寄付してください。
一度、断捨離したら、その後は、買い物に慎重になりましょう。


3.生産者がわかっている服を買う

ピープル・ツリーなどフェアトレード(公正貿易)をしているブランドは、生産者の情報を明らかにしています。

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(↑ピープル・ツリー社、発足時スタッフ)


こういうブランドの服を調べてきましょう。しっかり探せば、地元のメーカーの服も見つかるかもしれません。


4.衝動買いをしない

衝動買いをしている場合ではないですね。何か欲しい服や靴があったら、まっさきにすべきはリサーチです。
●デザインがいい  ●着心地がいい 
●道義的に公正に作られている
●環境にあまり負荷をかけず作られている 
●比較的買いやすい値段
このぐらいの条件を念頭におき、しっかり探しましょう。
リサーチの結果、そういう物が見つからなかったとしても、次善の策として、できるだけ質のいい長持ちしそうな服を買うのがいいでしょう。


5.古着屋で購入

1着を長く着る、という意味では、古着を買うのもおすすめです。エシカルファッションを追求するためには、今までより手間とお金がかかります。しかし、これまではファストファッションを選ぶことで、多大な負荷をずっと他人に負わせていたのです。


住宅におけるエシカルな取り組みを考える


「住」においてはどのような取り組みが可能となるでしょうか。私たちは、住宅の素材や環境、仕入れ先、廃棄方法など「地産地消」を考えた家づくりとして、エシカルハウジングを指向しています。

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まず前提となるエコロジーについては、太陽熱や早朝の放射冷却などを蓄熱・蓄冷して化石燃料の消費を抑えるアクアレイヤー(水蓄熱床暖房&床涼房)を積極的に採用しています。
化学的な蓄熱材をいっさい使わず、どこにでも捨てられる「水」を使う点において、最もオーガニックでロハスな温熱環境づくりのための国産技術と言えます。
また、弊社が取り扱うVas Plus(木製収納システム)やTwin Trac(スチール製壁面収納システム)は、永年にわたってモデルチェンジしないので、何世代にもわたって使い続けられるという、欧米のエコロジー思想そのものといって良い収納システムです。
優れた収納計画は生活にストレスを生まず、「快適」をサポートしてくれます。 

さらに、製造・解体時に環境負荷を軽減できるように石油由来の製品を極力使用しないことや、構造材に地元や近隣の木材を使用することも重要です。
地元材を使うことで…
①材木の長距離輸送を行わないのでCO2の削減に効果がある 
②自然災害にも耐える地元の森林を育てて行くことができる 
③雇用創出や経済活動の拡大など地域経済を守る事ができる 
このように、地元材や地元の若者雇用を重視した「地産地消の家」を建てることで、地域経済に役立つことを目指しています。

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私たちは、適正な賃金や安心できる労働環境を実現し、地元の若者に技術の伝承を行うことで、将来にわたって「地元の住まいを見守る家づくり集団」であり続けることを、宣言いたします。

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