4パターンの「利き脳」で分かる、自分に合った収納方法
「いくら片づけても、すぐにリバウンドしてしまう」
「雑誌や本にのっている収納テクニックをそのままマネしても、なぜかうまくいかない」
「私は片づけられるのに、夫や子どもが片づけられない」
…そんなお悩みをよく耳にします。
いったい、片づかないほんとうの理由って何なのでしょうか?
片づけに唯一の正解はない…「私にとっての正解」があるだけ
片づかない原因は、「収納の仕組み」が自分や家族に合っていないだけのこと。
思考や行動のクセに合った片づけ方を取り入れれば、ストレスなくものが探せたり、もとの場所に戻せるようになります。
そこで、自分自身や家族に合った仕組みを見つけるために、「利き脳」を参考にする手法を紹介します。
右脳がつかさどるのは、ひらめき・イメージ・創造性などで、右脳が優位に働く人は「直感的」に物事を受け入れるのが得意と言われています。
対して左脳がつかさどるのは、話す・書く・計算する・分析するなどで、左脳が優位な人は「科学的」な思考を得意としているそうです。
それではさっそく、あなたの「利き脳」をチェックしてみましょう。
ものの探し方・戻し方のクセが分かる…あなたの「利き脳」を調べてみよう
情報を取り込んで理解するときに使う「インプットのときの利き脳」と、理解した情報を言葉や行動であらわすときに使う「アウトプットのときの利き脳」を調べます。片づけにあてはめて考えると、インプットは「ものを探すとき」、アウトプットは「ものを元の場所に戻すとき」に使う脳。それぞれの特性に合った収納が、探しやすく戻しやすい収納ということになります。
●インプットのときの利き脳 → 指組みしたとき、左右どちらの親指が「下」になっていますか?
自然に指を組んだとき、左の親指が下にきている人はインプットが左脳タイプ、右の親指が下にきている人は右脳タイプ。
●アウトプットのときの利き脳 → 腕組みしたとき、左右どちらの腕が「下」になっていますか?
自然に腕を組んだとき、左の腕が下にきている人はアウトプットが左脳タイプ、右の腕が下にきている人は右脳タイプです。
腕を少し持ち上げてみるとどちらが下か判断しやすいです。
指組み、腕組みの結果をもとに、4つの脳タイプの傾向を見てみましょう。
指組み、腕組みで調べた脳タイプのうち、特にアウトプットのときの利き脳(腕組みをもとにチェック)は、職業や環境によって後天的に変わることがよくあるといわれています。
後天的な特性は、次の【行動特性チェック】で調べることができます。
指・腕組みの結果と異なる脳タイプの傾向が強く出た場合、【行動特性チェック】の結果を重視するとよいそうです。
例えば、指・腕組みでは右右脳タイプだったけれど、行動特性チェックで左脳タイプの特徴が多く当てはまる場合、後天的な右左脳タイプである可能性がある……ということになります。
いかがでしたか?
ご自身の利き脳は、想像していたとおりだったでしょうか?
ご家族の利き脳は、ご自身と同じでしたか?
もしも家族間で利き脳が違う場合、個人で管理するスペースであれば本人の特性に合わせて、家族で管理するスペースなら片づけがより苦手な人の特性に合わせて整えると、ストレスなくものを出し入れできるようになります。
利き脳がまだ定まっていない6~7歳未満の子どもは、まずは右右脳タイプのアプローチを試してみましょう。
「収納方法」だけを特性に合わせて整えるのではなく、ものを分類したり手放したりといった「準備」のステップや、片づいた状態を保ったり改良したりといった「維持」のステップも、それぞれの特性に合わせるのがポイントです。
結果がどうであったとしても、脳タイプに合った収納方法をそのまま取り入れることが「利き脳をチェック」する目的ではありません。
特定の片づけ方が合わないときに、「この方法は合わないから、別の方法を試してみよう」と発想を転換するヒントとして、利き脳を活用してみてくださいね。
右右・右左・左左・左右脳タイプの方の家
「利き脳」はあくまでも、人には思考や行動にクセがあるということを伝えるツールのひとつです。
とはいいながら、さまざまな収納パターンを見ていると、「右右脳タイプっぽい配置」「左左脳タイプ的な考え方」といった傾向を感じることがあります。
例えば、「右左脳タイプ」の方が自分でも「右左脳タイプ」らしいなと思うのは、収納用品の選び方です。
見えるところではビジュアルを重視しますが、見えないところでは合理性を重視します。
リビングのオープンシェルフ(画像左)に並べているのは、ラタンのカゴ、硬質パルプのボックスといった、見た目が好みの収納用品です。材質や色にこだわって選んでいます。
都心の小さなマンション住まいのため、リビング・ダイニングスペースもコンパクトです。
どこからでも目に付いてしまうオープンシェルフはビジュアル優先、扉付きの収納スペースでは管理のしやすさ優先で収納用品をセレクトしています。
反対に、扉を締めれば隠すことのできる収納スペース内(画像右)では、半透明の収納用品を好んで使っています。
本質的には、場所や色、形でものを探すほうが楽なので、中が透けて見える収納用品のほうが扱いやすいからです。
収納用品をそろえるときは、まずはひとつだけ購入し、使う人との相性がよいと確信をもってから数を増やすと「たくさん買ったけど使いづらい!」といった失敗が防げます。
次の写真は「右右脳タイプ」の方のクローゼットとシュークローゼットです。
オールシーズンの衣類や靴をすべて見渡せるよう収納することで、「見えないと存在を忘れがち」な「右右脳タイプ」の特性を見事にカバーしています。
クローゼットがコンパクトな場合、オンシーズンの衣類だけでもハンガーにかけて収納すれば、扉を開けたときにひと目で全体が把握できるので、「こんなの持っていたんだ!?」を減らせます。
扉を開けたときにうっとりできる収納(通称「うっとり収納」)を採用すると、美しさを維持するためにがんばって片づけられることが多いのも、美的感覚に優れた「右右脳タイプ」の特徴です。
さて次は、「左左脳タイプ」方のファミリークローゼットです。
先ほど紹介した「右右脳タイプ」と同じく、「かける収納」を採用していますが、その理由が違います。
洗濯物を干すハンガーとクローゼットにかけるハンガーを統一して、取り込んだ洗濯物をそのままクローゼットへ戻せるようにという、合理性を追求する「左左脳タイプ」ならではの収納です。
「洗濯物をたたまずに収納したい」という人は、ぜひ採用してください。
このファミリークローゼットは、洗濯機を置いている1階の洗面所の向かい側にあります。
洗濯物を干すテラスも1階に設けることで、洗濯の動線を最低限に抑えられるよう計算して設計されています。
最後に紹介するのは、「左右脳タイプ」っぽさを感じる収納です。
「写真ラベル」といえば、画像がよく分かるよう大きめにプリントするのが一般的なのですが、「左右脳タイプ」のこの方のおもちゃ収納に使われているのは棚板の側面に貼れるほどの極小サイズです。
見えないのではと思いきや、色や形に特徴のあるおもちゃの写真は小さくても認識可能。
これなら文字の読めない小さな子どもでも、色と形で収納場所が分かります。
常識とは違っても、自分たち家族にとっての「分かりやすさ」を追求することが、片づいた状態を維持するためのポイントなんです。
子どものおもちゃを収めたシェルフの棚板に貼られた写真ラベルは高さ1cm未満と極小サイズです。
収納に「人」を合わせない…目指すは「人に合わせた収納」
同じような収納でも、これだけ収納方法に違いがあります。
似た片づけ方を採用している場合でも、そこにたどり着くまでの経緯や考え方が違います。
考えてみると、「利き脳」だけでなく、家族構成や家の間取り、家事にかけられる時間や管理できるものの量、暮らしのなかで重視していることだって違うのですから、当然のことなのかもしれません。
そこに暮らす人がストレスなくものを探せたり、もとに戻せる収納が、ほかの誰でもない、その家族にとっての片づけの正解です。
無理に「人」を収納に合わせるのではなく、「収納を人に合わせる」方法を取り入れてみてください。