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平日はシンプルな家事でいい


ストレスの少ない、ドイツの合理的な暮らしと食生活

仕事や家事に育児、そしてプライベート…限られた時間の中で、いくつもの要素をやりくりするのは容易ではありません。
しかし「やらなければならない」と信じていることが案外単なる思い込みで、やらなくても別に平気だったという場合もあります。毎日同じ状況で生活していると、なかなか気づかないだけなのです。
家事、特に食事について、それまで抱いていた思い込みがなくなり、生活が格段に楽になるドイツ式の合理的な生活ノウハウを紹介します。


火を使わないシンプルな食事 ~ 朝食は「作るものではなく、食卓に並べるもの」

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ドイツの食生活はシンプルです。
朝食メニューはパンにハム、チーズ、野菜などを挟んだものや、ミューズリ(オーツ麦などの穀物を加工したものにドライフルーツ、ナッツなどを加えたシリアルの一種)に牛乳やヨーグルトをかけたものが主流です。
朝食とは作るものではなく、「冷蔵庫から出して食卓に並べるもの」なのです。もちろんこれは手抜きではなく、そうした食文化なのです。
昼に温かいものを食べ、夜は再びパンにハム、チーズという「火を使わない食事」が伝統的です。ドイツでは、「夕食も朝食と同じ内容でいい」という考え方は普通で、日本のように「夕食にはご飯と味噌汁、メインのおかずに小鉢やサラダを付けて」という強迫観念めいたものはありません。
温かい調理をする家庭も当然ありますが火を使わない夕食は普通です。


普段の食生活、2人の子どもの母に聞いてみた

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ネットで紹介されているベルリン在住の主婦カトリン・ペッチュさん(ファッションデザイナー)の生活を見てみましょう。
ペッチェさんは、ベルリン市内のアパートで、夫、11歳の息子、生後6カ月の娘と暮らしています。
市内に自身のアトリエ兼ショップを持ち、午前10時から午後4時まではそこで働きます。
「朝はパンにコーヒーとか、フルーツサラダを食べますね。時間がないときはお店でサンドイッチを買うこともあります」

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(朝食によく作るフルーツサラダ。リンゴやバナナ、キウィなどを刻んで混ぜたもの。これにオレンジジュースやコーヒーを添える)
平日は毎朝6時20分に起床し、子どもの朝食と弁当を用意します。
どちらもパンにチーズや野菜などを挟んだサンドイッチです。
弁当は昼食用ではなく、午前中の休憩時間に食べるもの。学校の始業時刻が早いため、午前10時半頃にパンを食べる休憩時間を設けているそうです。
夫が息子を学校へ送り届けると、ペッチュさんは一人で朝食。
ヨガをしてから6カ月の娘とともに10時にアトリエに到着します。
スタッフは若い女性が数名という構成で、赤ちゃん連れでも大丈夫です。昼食はアトリエ周辺で外食することが多いそうです。

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(学校へはサンドイッチのほかにフルーツを丸ごと持参する子どもも多い)


軽い夕食は胃もたれせず、よく寝られる

16時に仕事を終えるといったん帰宅して、息子を家で迎えます。そこから買い物メモを持って買い物へ。
「頭に浮かんだらすぐに書き留められるように」と、ペンとメモは家の各所に置いてあります。
夕食によく作るのはサラダで、パンを添えます。ときどきはシチューや、茹でたジャガイモにハーブソースをかけた料理も食卓に上ります。
現代の家庭料理で手の込んだものはなく、野菜もよく使います。ドイツ料理レストランで見かけるような、どっしりとした肉料理はベルリンの一般家庭では特別な行事を除いてあまり作らないそうです。
スーパーで売っている惣菜の品揃えは日本ほど充実していませんが、夕食を作る気力がないときにはサンドイッチを買ったり、気軽なアジア料理レストランで料理をテイクアウトする人もいるそうです。
昼食は午後の活動に向けてエネルギーが必要なので、しっかりした食事を取るのは意味があります。
いっぽう、夜は寝るだけなので、昼間と同様に食べなくてもいいといえます。理にかなった食生活ではないでしょうか。


平日はシンプルに、週末はみんなで食事を楽しむ

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こうした食習慣は、日本の感覚ではなかなか受け容れられないかもしれません。日本人にとって食事は非常に重要で、食べることは大きな楽しみなのです。
夜には温かい料理を食べないと、どことなく寂しい気持ちになってしまいます。しかし、おかずの品数に縛られることはなく、栄養バランスさえ気をつけていれば、ご飯に具だくさんのスープや味噌汁だけの「一汁一菜」でも十分だといえます。
ドイツでは平日の食事はごくシンプルに、そして週末は家族全員で生地からピザを作ったり、夏は庭や公園でバーベキューパーティーを楽しみます。そうしたメリハリが、家事への重圧感を減らして日常を楽しむ秘訣かもしれません。

現代に合った家事のありかた

職場に6ヵ月の娘を連れていけるペッチュさんは、一般のオフィスで働く女性よりは育児しやすい環境かもしれませんが、それでも仕事と家事に加えて2人の育児をすべて回すのは大変だと話します。
面倒に思いがちな食器洗いは食洗機を使ったり、家族それぞれのスケジュールはスマホのカレンダーに記入して家族全員で共有したりと、ツールを上手に使いこなすことで、家庭が回る工夫をしています。
ペッチュさんの夫も自営業ですが、「私が頼めば夫も家事をやるのですが、やるべきことを気づくのは私のほうが早いです」という理由で、自分のほうがより多くの家事を分担しているそうです。
しかしガラス磨きなど一部の家事は、外注することもあるそうです。


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(キッチンとダイニングは同じスペース。以前は別の場所に小さな独立型のキッチンがあったが、現在の場所へ移動させ、大きなダイニングキッチンにした)


家事分担や、外注・機械化も考慮に

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ドイツでは自宅の掃除を定期的に外注している人も珍しくありません。
1週間に1回、あるいは隔週1回程度で住まいをきれいに保てるのなら、依頼する価値はあると考えるのです。
掃除代行サービス会社から探すことも、口コミで個人に直接依頼することも可能で、料金は頻度や会社(あるいは個人)によっても異なりますが、ベルリンの場合は1時間当た1800円程度で依頼できそうです。
男女ともに働く現代では、男女の役割分担が明確だった時代の家事は実情に合わなくなっています。それは日本でもドイツでも同じこと。
忙しくても家の中が問題ない程度に回り、誰か一人だけが大きなストレスを溜め込まないようにするには、家族で家事を分担したり、外注や機械化によって作業を減らしたりすることが必要ではないでしょうか。
(ドイツの食洗機の家庭での普及率は約7割)


家事は1人でがんばらないのがドイツ式

ドイツの家庭では家族の誰かひとりが家事に奮闘している、という光景はみられません。
その秘密は「わが家のルール」をつくって、楽にキレイをキープしているからです。具体的には、「使ったら必ず使う前の状態に戻しておく」というシンプルなルールを徹底しているのです。
おうちでの散らかりがちなポイントと、きれいを保つ「おうちルール」の作り方をご紹介します。

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【玄関】 ドイツでは玄関で靴を脱ぐという習慣はありませんが、玄関横にガーデローベと呼ばれる、クローゼットのような物入れがしつらえてあります。
このガーデローベは、住人だけのものではなくてお客さまが来られた時も使用するのですが、コートや帽子、傘、ブーツや長靴などをさっと収納しておく場所です。
ここはきちんと収納するクローゼットとはちがって、外から家の中に入ってきたときにちょっと置きする場所なのです。


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【トイレ】 日本では家事をする人がきれいに掃除するものという認識ですが、ドイツでは家族はもちろん、お客さまであっても誰もが使ったときは元の状態に戻しておくというルールが徹底されています。


【洗面所・お風呂】 日本ではあまりない習慣ですが、ヨーロッパでは水回りを使ったら、都度きちんと水分をふき取り磨いておきます。日本と違って水道水は石灰分を多く含んだ硬水で、水回りにはねた水滴をそのままにしておくと、水分が蒸発しても石灰分はそのままで水滴の形に沿って白いあとが残ってしまうからなんです。
日本の軟水ではヨーロッパのように気をつかう必要はないかもしれませんが、このように使った人がこまめに拭き上げておくというお手入れを家族全員が習慣にしておけばいつでも水回りを美しく保つことができます。


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【リビング】 ドイツでは、リビングはパブリックな空間であり、日本のように下着姿でくつろいだり、散らかっていても平気という空間ではないのです。
そして、「リビングが散らかって片づかない」とお嘆きのお宅に共通しているのは、本来リビングにないはずのものが進出してきて、そのままになっていることがほとんどです。
本来あるべき場所を決めて「使ったらもとの場所に戻す」というルールを徹底するようにしましょう。

家族みんなが少し認識をかえて、一人ひとりが「きれい」をキープすることに協力したいものですね。

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