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告白水平線

広樹と私は、海沿いのこの町で育った。
小さい頃から、海は二人の遊び場だった。

中学になって、違う部活に入り、ずっと一緒にいられなくなったけど、それでもいつも一緒に帰った。

実は、私がそれとなく時間を合わせていたのだけど、広樹も当たり前のように横を歩いた。

どこの高校に行くの?
H高校。
それを聞いて、思わず
私も!
というと、広樹は
じゃあ又一緒に登校できるな、
と言った。

これって…?

ある時一人で海に行く広樹を見かけた。
偶然を装うつもりでそっと跡をつけた。

空は青く、水平線はくっきりと弧を描いていた。

突然広樹が、水平線に向かって叫んだ

大好きだー

いつも一緒にいてくれてありがとう
いつも癒してくれてありがとう
怒ったときは怖いけど、
いつもは優しくて、綺麗で、
そんな君が大好きだ!

広樹!
私が声をかけると、広樹はビクッとして振り返った。

誰に告白してんのよ

水平線に。
あんまり綺麗だったから、やっぱり海が大好きだな、って。

海か…


うん、お前の次にな。


ここまで本文409文字

これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

お題は「告白水平線」
もちろんフィクションです。笑

幼馴染っていいなあ…
わたしは近所は女の子たちばかりでした。
主に年下の数人の男の子たちは、なぜかインドア派。
一番男の子っぽかったのは、私かもしれません。
実際幼馴染で結ばれるって、どれくらいいるんでしょうか…。
そんな妄想のショートショートでした。

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