見出し画像

月夜の寝ぐせ

満月の夜
月はいつも以上に美しく輝いていた。

月は池に映った自分の姿をみて、うっとりしていた。

ところが、池辺の木にとまっていた鷺が、
あれ? お月様寝ぐせがある!
と言った。

池の上の白鳥も、
あらホント、お月様寝ぐせがあるわ
と言った。

え⁉︎
月は慌てて、池の鏡でもう一度自分の姿を見た。

すると、まんまるいはずの自分の姿に

ぴよん

曲がったツノのように、毛が飛び出ている。

今日は何とかムーンと言って月を見る人が多いからと顔を磨くことに精一杯で、ちゃんと全身を確認していなかったわ、
どうしましょう。

お月様は、恥ずかしくなって雲を呼んだ。

雲さん雲さん、私を隠して!

どうしたんだい?

私寝ぐせが…

どこに?
そもそもお月様、髪の毛なんてないよ!

あ…

すると池の上で、カッパがゲラゲラ笑って言った。
池の月夜の寝ぐせは僕の頭だよ。

池に浮かんだカッパの濡れた皿に月が映り、
横からカッパの毛が飛び出ていた。

鷺も白鳥も大笑い。

それからみんなで美しい月を眺めたとさ。

本文ここまで 410文字

これはたらはかにさんの
毎週ショートショートnote
に参加したものです。

お題【月夜の寝ぐせ】でした。

いいなと思ったら応援しよう!