
親切なピン札【毎週ショートショートnote】
お金というものが姿を消して1000年。
歴史学者たちは、ある議論をしていた。
千円札、五千円札、一万円札の他に、ピン札というものがあったらしい。
2000円札や、500円札なるものもあったと聞いたことはあるが、ピン札とはどのようなものなのだろう。どれくらいの価値があるものなのだろう。
学者たちは、様々な説を挙げた。
その時一人の学者が一つの古い書物を持ち出した。
そこには
「親切なピン札」とあった。
ある日一人の男が、お正月前に銀行でピン札を下ろしてきた。
そのあと、財布を開けて買い物をした際、ピン札を一枚落とした。その後ピン札は、ミミズの子供を強い日差しから守り、カマキリの子供を強い風から守り、水たまりに落ちた蟻を助け、ボロボロになり、もはやピン札ではなくなっていた。
ピン札は最後に、飢えた子供の元へ行って、これでパンを買いなさい。と言った。
というお話だった。
親切なピン札により、新説なピン札が生まれ、ピン札の謎は解けたのだった。
本文ここまで 411文字
これは、たらはかにさんの
#毎週ショートショートnote
に参加してものです。
今回は裏お題
「新説なピン札」
ちなみに、このお話の中に出てくる「親切なピン札」は、「みくじ」の未発表作品です。笑