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キンモクセイ盗賊団

彼らは日本中のあちこちに出没する盗賊団だった。
彼らが盗んだ後には、必ずキンモクセイのいい匂いがするので、彼らはキンモクセイ盗賊団と呼ばれた。
彼らが現れるのは、秋のキンモクセイが咲く季節だけではない。1年中どこにでも出没する。

彼らが盗むのは臭いだ。
彼らはどんな匂いでも奪い去り、キンモクセイの匂いに変えてしまうのだ。

彼らのアジトには池があることが多かった。
池には、いつもキンモクセイの香りが漂っていた。
人々はその池に自らやってきて、悪臭を放つ物を落としていく。
池は渦を巻いて、臭いもろとも人間が落とした物を飲み込み、辺りは何もなかったかのように、キンモクセイの匂いが漂うのだった。
何を隠そう、そのキンモクセイ盗賊団を作ったのは、人間たちだった。
元は、嫌な匂いを盗んでもらうために彼らを招いたのだが、最近はその香りに飽きてきたという輩もいる。
それでも、今日もキンモクセイ盗賊団の池に、人々は自ら匂いを奪われに行くのであった。

本文ここまで 410文字

これはたらはかにさんの
毎週ショートショートnoteの企画
裏お題【キンモクセイ盗賊団の池】としてかいたお話です。

玄関先でいい香りを漂わせていた我が家のキンモクセイも、気づいたらすっかり落ちていました。キンモクセイの香り、少し前は辺りを歩いていると、あちこちからふわぁんと漂ってきて、思わず深呼吸しておりました。

ただ、キンモクセイの香りというと、どうもトイレの芳香剤を思い出してしまう人も多い。
トイレのすぐ裏にキンモクセイを植えている家も、時々見かけるように、その強い香りは、トイレの悪臭を隠してしまう。
一時期、キンモクセイ=トイレの匂い
なんて言われ、キンモクセイが可哀想に思ったりもした。

最近では、トイレの芳香剤も様々で、一方キンモクセイブームなのか?
ルーム用や、ハンドクリームなども、キンモクセイの香りのものを見かけるようになりました。

キンモクセイの汚名返上です。
それに昔の人工的なキンモクセイの匂いとは違って、最近のキンモクセイの香りのものは、本当にいい香りです。

ということで、このお話は、まだ、トイレの芳香剤といえばキンモクセイ、と言われて頃のお話として、お読みください。

あ、もしかしてトイレの芳香剤の話って、気がついてませんでした?😅

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