金魚プールの紅トーナメント
この街には金魚プールと言われるプールがある。
プールの入り口に大きな水槽があるからだ。
そこには大きくて、真っ赤な金魚がたくさん泳いでいた。
このプールでは、シーズンの最終日、ある大会が行われた。
この参加者は、全員赤い水着を着る決まりになっていた。
そして1番長くプールの中に顔をつけていられた人が優勝するのだが、参加者が多いので、何組かに分けてトーナメント制で行われた。
皆が赤い水着をつけて、プールに浮かんでいる姿は、まるでたくさんの赤い金魚が泳いでいるようだった。
この赤い金魚で赤く埋めつくされた様子から、この大会はいつしか
金魚プールの紅トーナメント
と言われるようになった。
この大会で優勝した人は、翌年優勝時の赤い水着を着てくれば、何度でもただでプールに入ることができた。
しかし人々は知らない。
このプールに何度も入りすぎると、金魚になってしまうことを。
今年も入り口の水槽に、また一匹の金魚が仲間入りしたようだ。
ここまで
本文410文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。
今回は裏お題
「プールの紅トーナメント」
でした。
まさか最後に、あんな結末になるなんて、自分でも驚きました。
私は、息止めが昔から得意ですが、赤い水着は持っていません。
黒い水着でこのプールに通ったら…
黒いデメキンになるかもしれませんね。