花冷え全員集合
桜の花が咲いて、ようやく春らしくなったと思ったら、急に寒くなった。
これじゃ夜桜どころじゃない。
洋子がそんなことを思っていた頃、彼女のクローゼットの中は大騒ぎ。
花冷えだぞ、花冷えだ!
花冷え全員集合!
とうとう今年もこの日が来たか…
それはクローゼットの中の、冬の衣類や小物たち。
花冷えの後、一気に暖かくなるので、この日が過ぎると、大概冬物はしまわれる。
そこでその夜、皆で集まって忘冬会をするのだ。
宴会も終わりに近づき、来年も又集まろうね、と話していると、マフラーが悲しそうに言った。
来年はもう、いないかもしれない。
ほらあそこ、少し前に新しい可愛いマフラーをもらったみたいなの。
もう捨てられちゃうわ…
みんな、来年もこの場所にいられるかわからないんだ。
しかし翌日、洋子は可愛い女の子を連れてきた。
この新しいマフラー、あげるわ。
私はお気に入りのマフラーがあるもの!
クローゼットの中マフラーは、幸せな気持ちで、次の冬までの眠りについた。
本文ここまで 411文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
裏お題「花冷え全員集合」
で書いたものです。
「全員集合」
と聞くと、
チャンチャカチャンチャン チャンチャンチャン〜♪
と頭の中で、ドリフターズの音楽が流れてくるのは私だけでしょうか?
そういえば昨夜、クローゼットの中から…
チャンチャカチャンチャン チャンチャンチャン〜♪
と聞こえてきたような、来ないような…
今週末は、冬物をしまって、春〜初夏の服を出さなくちゃです。