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最後の宴【毎週ショートショートnote】

皆様、今宵は存分に自由を楽しんで、食べて飲んでくださいね
上の方から、透き通った声が聞こえた。

人々の顔は、総じて明るい。

ようやく自由に動けるようになったわ
ようやく何でも食べたり飲んだりできるぞ
辛い修行がようやく終わった。

そんな中落ち込む若者がいた。

親より先に修行が終わって申し訳なくて…

それは気の毒だけど、君はここから親の修行を助け、その時が来たら迎えに行けばいいさ。

修行の期間や大変さは人によって異なる
短くて辛い修行もあれば、長いがさほど辛くない修行もある
自分じゃ選べないからな。

でもあんまり泣かれると、行きにくいわよね。

修行が終わって安らぎの世界に行けるんだから、笑顔で送ってほしいよ。

昔は、別れが寂しくて泣いたりしたけれど、その先にこんな平和な世界があるのなら、行ってらっしゃいと笑顔で送ってあげればよかったな。

成仏前の宴は、明るく賑やかに
これこそがあるべき成仏宴だな。

しかしそう思うのは、この場所に来てからなのだが。


本文ここまで 411文字。

これはたらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

今回は裏お題「あるべき成仏宴」

高校生の頃、先生から
「人生は修行である」
と言う言葉を聞きました。
しばらく紙に書いて、部屋に貼っていました。

辛い時には、その言葉を思い出したりしていましたが、今は、人生は「旅」のような気もしています。
とはいえ今回は「修行」として書きました。

人は死んだらどうなるのでしょう。
魂はどこに行くのでしょう。

この世界での別れは寂しく悲しいものだけど、
その先に自由で平和で苦しみのない世界が待っていると信じたい。
そんな気持ちです。

もしかしたら、あの世に行ったら形は失っても、自由にこの世の私たちの様子を見にこれるのかもしれない。
だけど、
触れられない。
会話ができない。
伝えられないもどかしさはあるだろうし、
こちら側も近くにいたとしても
見えない
話せない
触れられない。

だからやっぱり、身近な人とのお別れは、寂しいし悲しいな。

皆様は天国を、極楽浄土を、黄泉の国を、地獄を…信じますか?

私は、魂は無くならないで、同じ空間の異次元に、身体を失った魂居場所が存在するんじゃないかって、勝手に思ってます。

この成仏宴が終わったら、魂は体から解き放たれ、美しく光る光の玉となって、美しい世界へと流れていったことでしょう…

(宗教的な意味は一切ありません)

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