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名を自動転売鬼
ある山に、名を盗む鬼が住んでいた。
鬼に名を呼ばれると、全ての人がその人の名を忘れ、書かれた名も消えてしまった。
名を失った人が、鬼に返してくれと頼みに行くと、鬼は法外な値段で名を売りつけた。
ある日、正吉は達男に、山で僕のこと鬼吉と何度も呼んでくれ、と頼んだ。
達男は、山に入ると
鬼吉、鬼吉〜
と何度も叫んだ。
正吉が
ここだよ!
と叫んだ時、鬼が現れた。
ハハハ、お前の名がわかったぞ、
鬼吉!
鬼が言うと正吉は、
実は僕は鬼吉じゃないのさ
でもどうしてお前は人の名は盗むんだ?
と尋ねた。
鬼は言った。
俺は赤ん坊の時、名も付けられずに山に捨てられ鬼になったんだ。だから名を盗むのさ。
正吉は
それなら君に名をあげよう。
君は今日から鬼吉だ。
鬼は喜んで、もう名を盗むのをやめた。
しかし中には自分の名を変えたい者もいた。
彼らは鬼吉に自分の名を呼ばせて、その場で別の人の名をもらった。
こうして鬼吉はいつしか、名を転売する自動転売鬼と呼ばれるようになった。
ここまで 本文409文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
の企画に参加したものです。
今回は裏お題「名を自動転売鬼」
何それ⁈
410文字で書くのに、なかなか苦しみました。
でも最後に鬼と人間が仲良くなれて良かったです。
サムネ画像には、鬼が盗んだたくさんの名前があります。
あなたの名前はありますか?
これらは転売されて、今あなたの名前になっているのかもしれません…
なんてね 笑