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文学トリマー

男の仕事は文学トリマー。
依頼された本の内容を、うまくカットしながら、本の中身を要約する。

ただあらすじを書くのではなく、
筆者が何を伝えたいのか?
何を思って書いているのか?
よく読み込まないとできない仕事だ。

いつぞや、ミステリーを依頼された時は困った。
細かな布線をどこまで書くか?
いやこれは、少しづつ読んでいくのが楽しいのではないのか?

男は迷っていた。

これでいいのか?

一言一句言葉を選び、展開を考えて書かれている作品を、このトリミングされた文章で、読んだ気になってしまうのは、果たして本当に作品を読んだと言えるのだろうか?

悩んだ末、男はトリミングしながら、絶対に本を読まないとわからない表現をあえてしたり、原作を読みたくなるような本作にはないギミックを入れて、原作に誘導しようとした。

結果、今までの依頼者は、男の元を離れた。

しかし、別の仕事もやっていた。

トリマーというからには、やはり元の姿を輝かせてなんぼだろう。

男は言った。

本文ここまで 410文字

これは、たらはかにさんの企画
♯毎週ショートショートnoteの企画に参加したものです。
お題は、「文学トリマー」

昔、大学の宿題で本を読んで感想を書いてこい
という課題が出た。
全く興味のない本で、恐ろしく長く、ちょっと難しい話で、課題提出期間が迫っていてので、あらすじを読んで適当に書いた。

その本のあらすじは、たいしておもしろくなかったが、数年して実際にその本を読んでみると、すごく面白かったのだ。

もっと、本を読みたくなるようなあらすじであったなら、

いや、この男がトリミングしてくれたものを読んでいたら、

ちゃんと課題に取り組めていただろう。

などと、課題を放置していた自分を棚に上げて思いました😅

でも、私にはできそうにないな。
自分の書いた文を410文字に収めることさえ、苦労してます(笑)

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