無人島生活福袋
僕がこの無人島に来て、間も無く半年が経とうとしている。
初めは何もなかったけど、自分で必要な物を作り今では快適に過ごしている。
この無人島生活のいい所は、月に一度海岸に福袋が置かれる事だ。
5色の福袋で、何が入っているかわからない。
一つを選ぶと残りの四つは消えてしまう。
白い袋を選んだ時は、衣類が入っていた。
青い袋を選んだ時は、舟と釣り道具や網が入っていた。
黄色い袋を選んだ時は、食料が入っていた。
島の木の実や草木、魚や貝など食べ物はあるが、缶詰などの食料はやはり嬉しかった。
ある時、ピンクの福袋があった。
僕は無性に懐かしいような気持ちになり、その福袋を開けた。
中から出てきたのは母親だった。
そろそろ無人島から戻ってきたらどう?
母親は、僕の顔にかけられていたゴーグルを外し、締め切られていた僕の部屋のカーテンを開けた。
眩しい光が差し込み僕は思わず、手で目を覆った。
ねえ、実際に南の島に行ってみない?
母親はそう言って、微笑んだ。
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これはたらはかにさんの
毎週ショートショートノート
の企画に参加した物です。
お題は【無人島生活福袋】でした。