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門限【シロクマ文芸部】

夏は夜のお楽しみがいっぱいだ。
夏祭り、盆踊り、花火大会があちこちで開かれ、
ビアガーデンに、テントでキャンプ
動物園はナイトツアーなんかもある。

その昔は、夏といえば海水浴!プール!
なんていっていたけど、こう暑いと昼間は涼しい室内でまったり過ごし、夜になって、さあ出かけようという気になる。

まあ夜とはいえ、熱帯夜も多くのだけど、日中よりはマシ。

ところが、僕の彼女は実家暮らし。
なんと門限9時とかいうんだ。

祭りに行っても、花火大会があっても、余韻を楽しむまもなく、慌てて帰ってしまう。

一度門限を過ぎてしまったことがあった。
彼女のお父さんは、家の前で仁王立ちで立っていた。

僕は家の前まで送ると行ったんだけど、余計に厄介だからやめてくれ、と言われ影から彼女がお父さんに謝って家に入るのを見届けた。

大学生になった彼女はアルバイトを始めた。
それでも9時以降のバイトは禁止されていた。

そんな彼女も、社会人になった。
社会人になって門限はないだろう…

と思ったけれど、彼女の門限は継続していた。
僕は真面目に彼女を9時までに送り届けた。

その日も9時少し前に、彼女の家に送り届けると、なんと彼女のお父さんが立っていた。

まだ9時前ですよね?

君を待っていたんだ。

え⁈

思わぬ形で僕はお父さんと対面し、
娘さんとおつきあいさせていただいております○○です。

と挨拶することになってしまった。

するとお父さんは、送ってくれてありがとう。
まあ、上がっていけよ、
という。

ビビりながらも、僕は初めて彼女の家に上がった。

ところがお父さんはなぜか上機嫌。
いっぱい飲めや、という。

これまで長く娘も付き合ってたのは知ってる。
ちゃんと9時までに帰宅させてくれて、信用できるやつだと思っていたよ。
これからも娘を頼む。

たまにはこうしてうちに飲みにこいよ。

は、はい。

こうして僕は、夜の9時過ぎでも彼女と会うことができるようになった。
彼女の実家で…

♯シロクマ文芸部

シロクマ文芸部さんの、「夏は夜」から始まるお話しを作る企画に参加させていただきました。


私の家は、明確な門限はなかったけれど、遅い時間に帰宅した時、父の家の前で待っていたことが何度かありました。
三人姉妹で、妹はそもそも遅く帰宅する子ではなかったけれど、姉も同じような経験があったそうです。

社会人になって一年目、飲み会の後お酒を飲まない上司が送ってくれるのですが、家の前で待っていた父に頭を下げていて、申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
次からはまず最初に、お前からな
と一番に送ってもらっていたのも、申し訳なかった。
もともと不規則勤務で残業が多く、次第に慣れて、そんなことも無くなったけれど、当時は、なんてめんどくさい親だと思ってました。

そんな私も、娘の専門学校時代、12時過ぎても帰ってこないと、
今どこにいるの?
いつ帰ってくるの?
なんてラインでしつこく聞いてしまって、うざがられました。

親になって初めて親の気持ちがわかるものです。

安全な日本とはいえ、本当に安全ではない。
テレビのニュースを見ると、いつ何があるかわからないと思ってしまいます。
心配するのは、大切に思っているからだとは思うのですが、バランスが難しいです。

娘を持つ父親の気持ちというのは、また母親とは違うのだろうと思いますが、想像しか出きません。
それに人それぞれでもあるでしょうし。

皆様は門限ありましたか?
お子さんに、門限設けてますか?


さて、創作大賞に参加したく、ここ数日勢力的に取り組んでいますが、2万文字に届かず苦戦してます。
引き続き頑張ります。

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