二つの奇岩シューズ
山の中腹に一際目立つ二つの奇岩
一つは黒くて空にそびえるように立ち、
もう一つは、土気色で丸っぽくて、黒い石を支えるようにくっついている。
どうして種類の違う二つの巨岩が並んでいるのか、その謎は解き明かされていない。
奇岩にはしめ縄がかけられ、古くから信仰の対象となっているのがわかる。
地元の菓子屋が、この奇岩をモチーフにお菓子を作った。
竹炭を織り込んだ黒い生地に、
フレーク状のビターなチョコがかかった黒い巨岩に似たエクレア。
もう一方は、
岩塩がぱらりと乗った、塩クッキーシュー。
そして、この二つを箱に入れ、しめ縄に似たリボンをかけて、
奇岩シューズ
として売り出した。
その珍しさや美味しさから、この奇岩シューズは大人気になった。
それをみて地元の靴屋が、
黒くて長い左の靴と、丸くて丈夫な右の靴を
「奇岩シューズ」として売り出した。
しかし、
いつまでも長く丈夫に歩ける!
なんてキャッチフレーズは通用せず、こちらは残念な結果に終わったという。
本文ここまで 410文字
これはたらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
の企画に参加したものです。
今回は、裏お題
「奇岩シューズ」
二つの奇岩シューズに挑戦してみました。
お菓子の方の、奇岩シューズ。
本文には書けませんでしたが、中身のクリームは、黒い巨岩の方は、こちらも竹炭入りの甘さを控えたクリームが、立てておいても倒れないようたっぷり入っていて、ずっしり重いシュークレームになっています。
クッキーシューの方は、こちらも甘すぎず、ほろ苦いカラメル味のクリームがたっぷり入っています。
書いていて私も食べたくなりました。
が、その店がどこにあるのか、私にもわかりません。