有能な暗殺者が殺すのは…【毎週ショートショートnote】

奴は様々なところに潜んでいて、突然目の前に現れて、私を恐怖のどん底に陥れる。

私は長年奴の恐怖に怯え続けてきた。

奴は全身黒づくめ、夜更けになると現れる。
奴の気配を感じた私は、全身の毛が逆立つような感覚になる。

奴をこの世から消してしまいたいと思うが、自分の手を汚したくはない。
それに、以前人に依頼して奴を殺害したことがあるが、奴の仲間が次から次に現れるだけだった。

私はついに暗殺者を依頼することにした。

暗殺者も又、黒づくめで奴を待ち構えた。

暗殺者は、奴だけでなく、奴の家まで押しかけて家族全員皆殺しにした。
なんとも恐ろしい暗殺者だ。

この暗殺者を雇うようになってから、奴は現れなくなった。

しかし、暗殺者は一年契約。
ついうっかり契約期間が過ぎると、途端にどこからともなく奴が現れる。

それだけ、私が雇った暗殺者は有能ということだ。

暗殺者は、私の目の届かないところで奴を暗殺し、その遺体を私の目に触れさせることもない。

なんと親切な暗殺者！

本文ここまで　413文字

これは、たらはかにさんの
♯毎週ショートショートnote
に参加したものです。

お題は、「親切な暗殺者」でした。

つい最近、奴を目撃し、一年の契約が切れていることに気がつき、暗殺者に依頼しました。

最近は地球温暖化のせいか、冬でも奴は現れるので、油断なりません😓