夜ケ森の不思議な夜【毎週ショートショートnote】
コトン
真夜中、郵便受けに何かが落ちる音がした。
美子は飛び起きて玄関に向かうと、
そこには真っ黒い葉書が1枚入っていた。
その葉書を月の明かりに照らすと、光る文字が浮かんできた。
次の新月の夜10時 夜ケ森の祠前
夜ケ森の祠に亡くなった人の遺品を供えると、故人に会える。その知らせは夜からの手紙で届くと言われていた。
美子は、少し前に死んでしまった愛猫ロコの青い首輪を、この祠に供えたのだった。
次の新月の夜、美子は夜ケ森に出かけた。
辺りは真っ暗、どこかでフクロウが鳴いている。
でも美子は、怖いとも思わずに進んだ。
その時チリン
と音がした。
見ると、青い首輪をつけたロコが目の前にいた。
ロコ!
美子は、ロコを抱き上げると頬擦りした。
ロコは、
今まで可愛がってくれてありがとう
美子と一緒にいられて幸せだったよ
もっと一緒にいたかったな
いつか又会える時まで、虹の橋で待ってるね
そう言って祠の中に消えた。
翌朝、黒い葉書も、祠に供えた首輪も消えていた。
本文ここまで 410文字
これは、たらはかにさんの
毎週ショートショートnote
に参加したものです。
お題は【夜からの手紙】
少し前に、姉が買っていたネコちゃんが死んでしまいました。
姉が我が子のように可愛がっていたので、本当に辛そうでした。
でも数日後、夢の中に出できたネコが、
もっと一緒にいたかったよ
って言ったんだよ、と姉が言っていたのを、ふと思い出しました。
別れは人でもペットでも、悲しいものです。
でもいつか必ず来るもの。
分かってはいるのだけど、もう一度会いたいと思ってしまう。
もし、夜ケ森の祠があったら、あなたは誰の遺品をおくでしょう…
そして自分がいなくなった時、そこに自分の何かが置かれる日があるでしょうか?
でも何より、生きているうちに、たくさんの愛を伝えたいですね。