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オノマトペピアノ【毎週ショートショートnote】


その街は、ピアノ作りが盛んな街で、
たくさんの音楽好きが集まる音楽の街でもあった。

そんな街にある日、魔法使いのオノマトペがやってきた。
オノマトペは、美しい音楽が嫌いだったので、その街のピアノを全てオノマトペピアノにしてしまった。

オノマトペピアノは、どんなに上手な人が弾いても、同じ音で
ガンガンガン
とか
キンキンキン
など音階のない不快な音しか鳴らなかった。
人々は落胆し、街から音楽が消えた。

あるピアノ職人の男は、
そんなことならいっそ、と音が出ないピアノを作った。
音が出ないので、オノマトペの魔法は効かない。
するとある音楽家が、それならば
と、音の出ないピアノを弾きながら歌を歌った。
それは美しい音楽となって、街に響いた。
人々は、大人も子供も音の出ないピアノを弾きながら歌を歌いだした。
歌でいっぱいになった街に、オノマトペはいられなくなり、とうとう逃げて行った。
こうしてこの街は、再び美しいピアノの音と歌声が響く音楽の街になった。

本文410文字

これは、たらはかにさんの、
毎週ショートショートnote の企画に参加したものです。
お題「オノマトペピアノ」

オノマトペとは?
すべすべ、もちもちなど、物事の状態を表す擬態語、ガチャン、バタンなど音を言葉で表した擬音語、ワンワン、ブーブーなど人や動物の発する声を表した擬声語などのことです。

♯毎週ショートショートnote

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