【ライブレポ】今度こそ、推しは推せるうちに。
推しは、推せるうちに推せ。
この言葉を最初に言い始めた人に、ノーベル賞を送りたい。
だって私は、推しに会う夢を、一度は永久に失った経験があるから。
■RYTHEMと私
私には、小学生のときからずっと憧れ続け、ずーっと大好きだったアーティストがいます。
シンガーソングライターユニット・RYTHEM。
歌番組が盛り上がっていた平成真っ只中。
数々のアニメ・ドラマ・CMのタイアップを歌いながらも、テレビ番組への出演が少なかった彼女たちを知る人は当時の私のまわりには全然いなくて、ほぼ誰とも楽しみを共有できないまま、1人でずーっとこのアーティストを追いかけ続けていたのです。
徳島という、全国ツアーでも100%飛ばされる田舎に住んでいた私。
バイトもできない当時の私に遠征費を工面する術はなく、「大人になったら絶対にライブに行く!」と夢見ていました。
高校3年生をむかえ、ようやく来年は上京というタイミングで、まさかのRYTHEMが解散。
まだ「推し」という言葉が世間に浸透さえしていなかった当時、私の夢は、夢のまま散っていったのです。
もう、一生、RYTHEMには会えない。
夢は叶わない。
クラシック音楽を学んでいた私は、RYTHEM解散後はJPOPから少し離れた時期もあったけど、ふとなにか思い出したようにRYTHEMの音楽を聴きたくなることが定期的にありました。
本当にもう、聴けないのだろうか。
そうぼんやり思い続け、10年。
2021年5月、RYTHEMが復活しました。
復活後は配信ライブ、YouTubeでの活動をメインに行っていたRYTHEM。
今年、ようやく生ライブが開催されたのです!
■RYTHEMトライアングルツアー レポート
2022年12月25日、東京・イイノホール。
会場に足を踏み入れると、小鳥のさえずりが聞こえます。RYTHEMは森に生きているから。
RYTHEMの最初のアルバム「ウタタネ」に記されていた詩から、ライブは始まりました。
小学生の頃、何度も何度も聴いたCD。
何度も何度も読んでは、「ああ、好きだなあ」と感じたこの詩を聞いて、私の心は一気に小学生に戻ってしまったようで。すでにもう涙が止まらない。
私にとってRYTHEMは、ずっと画面の中や音源の中にしか存在していなかった人。
目の前に現れた彼女たちをこの目で見て「あぁ、RYTHEMって本当に実在していたのか」と不思議な気持ちと、十数年越しにやっと会いに来れた嬉しさで胸がいっぱいでした。
そして歌われる1曲目は、RYTHEMのデビュー曲「ハルモニア」。
私がRYTHEMを知ったのも、この曲がきっかけでした。
さて、今回のライブは、ただのライブではありません。
解散前のRYTHEM、それぞれがソロで活動した10年間、再結成した今を繋ぐ、ストーリー仕立てのトライアングルツアー。
RYTHEMとしてだけでなく、それぞれのソロとしてのパフォーマンスも織り交ぜまたスペシャルステージです。
いわゆる「対バン」ではなく、RYTHEMとそれぞれのソロの3アーティストが入れ替わり立ち代り現れ、空白の10年間を紡いでいきます。
MCも一切なく、まるで本の中に飛び込んだような、映画の中を歩いているような、そんなライブ。
正直、私は2人のソロ活動は、あまり熱心に追いかけては来なくて。
RYTHEMのメンバーが別々で歌っていることが寂しくて悲しくて、ファンとして最低かもしれないけど「RYTHEMじゃないなら見たくない」みたいな気持ちがあったから。
でも、そうじゃなかった。
それぞれのソロを聴いていると、「離れていても、ずっとお互いのことを心から想っていたよ」という愛情が、ヒシヒシと伝わってくるのです。
RYTHEMの、解散前の最後のシングルです。
今日のライブの中盤でも歌われました。
「離れていても同じ月を見てる」「いつか愛は咲く」
あぁ、ちゃんと、愛が咲いたんだな。
おかえり、RYTHEM。
11年前、具体的な理由を語ることなく解散したRYTHEM。
ファンの間では2人の不仲説が囁かれていて、私にはそれもすごく悲しかった。
あんなに仲良しな2人が、不仲で解散だなんて信じたくない。本当の理由はなんなの?
その理由は、再結成後にも語られていましたが、今日のライブで明るみになりました。
もともと、RYTHEMは夢・空想・友情といった、ファンタジーを届けるアーティスト。
デビュー当時は恋愛の曲がほとんどなくて、ファンとしてはそこもRYTHEMの大きな魅力だと感じていました。
でも、2枚目のアルバム「夢現ファクトリー」リリースした後から、なんだか違和感があったのです。
なんか、恋愛ソングばっかり。
実はこの頃、「なんか方向転換しちゃったのかな?」と、少しだけRYTHEM熱が冷めた時期があったのですが、彼女たちもこの当時は苦しみの時期だったようで。
売れるために、恋愛ソングを書かなければならない。
葛藤を抱えながら苦手としていた恋愛ソングをかき続けたRYTHEMは、「RYTHEMを森に帰したい」という言葉とともに解散。
不仲でもなんでもなく、2人がRYTHEMを愛していたから、守りたかったからこその解散だったのです。
だからこそ、それぞれのソロの中にお互いへの愛情が垣間見えるのが、本当に本当に嬉しくて。
やっぱり2人は、2つで1つなんだよね。
ずっとずっと、苦しみながら頑張ってくれていたんだねって思いで、また泣きました。
10年間ソロ活動を続け、パワーを養った現代版・RYTHEMのパフォーマンスは進化していて、でもいい意味で変わらなくて。
RYTHEM復活後、初の新曲「メロディ」の歌詞の最後です。
「真剣に伝える 真剣に楽しむ」は、2人が毎回のライブ前に交わす合言葉。
それがそのまま歌詞になって、改めてRYTHEMの再スタートを感じました。
こちらは、RYTHEMの最新曲「再愛(OO)」のサビの歌詞。
(※リリース前であり、今日初めて聴いたので歌詞は間違いがあるかもしれません。)
解散前も、解散後も、今も。
お互いの中にお互いが生きていて、そして今はその愛を、私たちファンに向けて届けてくれている。
そんな奇跡のような瞬間に、会場中から涙を流す声が聴こえ、RYTHEMの2人も顔を真っ赤にして泣いて、会場が地球みたいにまん丸になったのを感じました。
おかえり、おかえり。
戻ってきてくれてありがとう。
これからも、どこまでも着いていくからね。
■推しは、推せるうちに推せ。
長くなりましたが、初めてRYTHEMに会えた感動を忘れたくなくて、noteを書きました。
ライブに行きたくても行けなかったあの頃。
会えないまま、夢が途絶えてしまったあの頃。
あのショックの大きさは計り知れなくて、「なんで私はもっと早く生まれてこれなかったの!!」と、本気で思いました。
でも、今は会いに行ける。
きっともう解散はしないだろうけど(しないでくれ)、人生なにがあるか分からない。
また、いつRYTHEMが終わってしまうかなんて、誰にも分からない。
でも、大人になった私は、もう自分の意思で、ずーっとずーっとRYTHEMを応援し続けられる。それを自分で決められるのです。
推しは、推せるうちに、うんと推せ。
じゃないと、こんな人生最大の幸せさえも、見過ごしてしまうから。
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