「急に」予算削減を告げられたときに広告集客を立て直すための3ステップ
事業が期初の目標通りに常に行くとは限りません。売上が計画通りに伸びておらず、利益が大幅に未達見込みとなったときには予算削減が経営層から通達されます。
中でも予算削減の槍玉に上がりやすいのが広告予算です。広告代理店の方はクライアントから、事業会社の社内広告担当の方は上司から、一度は予算削減を告げられた経験はあるのではないでしょうか。
あまり起きてほしくはないケースではあるものの、いつ来ても良いように急に予算削減を告げられたときに広告集客をどのように立て直すかについて解説していきます。
基本3原則
広告予算が削られたときの思考の軸として持っておきたいのが、次の3つの基本原則です。
伸びしろは伸ばす
無駄を排する
選択肢を絞る
簡単に言えば、獲得効率の良いところに予算を投下して、悪いところから予算を削り、注力すべきメディアを絞り込むということです。この後に具体的に説明する予算削減時の広告運用の調整方法についてもこの原則がバックグラウンドにあります。少なくともこの原則だけでも覚えておけば、いざというときにその場で正しく判断して対応することができると思います。
Step1: 最初は無駄の調査から始める
予算削減となったら、まずは無駄がどれぐらいあるかを調査します。
コンバージョン獲得を目的とした広告の場合
リスティング広告であれば、長期間コンバージョン獲得のないクエリやコンバージョン単価が非常に高くなっているクエリがないか、などクエリ中心に調査を行います。定期的にケアしているつもりでも抜け漏れが必ずあるのでこのタイミングですべて洗い出しておきましょう。
ディスプレイ広告では無駄は見つかりにくいので、ディスプレイ広告媒体単位やキャンペーン単位の大きな単位で比較して獲得効率の良い順にランク付けしてください。ランクの下位の媒体あるいはキャンペーンは止めても全体影響は小さいので無駄とみなしても問題ありません。
ブランディングを目的とした広告の場合
注意として、安直にブランディング目的の広告はすべて無駄という判断をしないでください。
ブランディング目的の広告は少なからず指名検索に貢献しています。ブランディング広告の出稿をカットすると指名検索流入が減っていき、逆に全体の獲得効率が悪くなるといったことが起きかねません。
すでに調査結果を持っているのがベターですが、指名検索に最も貢献している広告出稿がどれなのかを得られているデータから判断して貢献度の低いものは止める判断をするのが正しい方法です。
Step2: 伸びしろに予算を寄せる
伸びしろに予算を寄せるときには、先に調査した無駄のカットで見込まれる削減金額が全体の予算削減目標額よりも多いか少ないかで手順が変わります。
無駄のカットによる予算削減額が予算削減目標額よりも大きい場合
予算削減目標額に対して無駄をカットすれば目標額以上の予算削減が見込めるのであれば、余剰分を短期的に成果を上げられる広告に投資しましょう。
無駄のカットによる予算削減額が予算削減目標額よりも小さい場合
まだ無駄のカットが足りないときには、さらに踏み込んで広告運用実績を精査して獲得効率の悪い順に予算を削っていく必要があります。
とはいえ予算削減が解除された後のことを考えずに獲得効率の悪い順から削っていくと後で再拡大していくときに苦労します。必ずなぜその出稿を停止(抑制)したのか、いつそれを実施したのか、具体的にどんな設定変更を行ったのかを後から見ても分かるように記録をしておきましょう。
予算削減目標額に達するか予算削減目標額を超えて削減できれば、あとは短期的に成果を上げられる広告に予算をアロケーションを行います。予算アロケーションは機械学習に悪影響を与えないように段階的に調整していってください。
Step3: 予算額の極めて少ない媒体は思い切って止める
広告チャネルの全体予算額に対して1%にも満たない予算で運用している広告媒体を止めてしまうのも検討すべき方法です。
例えば、1か月単位で見たときにはCPAが安くても、予算額が小さいため1週間に1件のコンバージョン数しか獲得できない広告媒体のように、偶然性のある広告媒体で出稿を続けてもその広告出稿には再現性ある獲得が継続する可能性は低いためです。広告媒体の機械学習もその予算額の低さから学習データ不足でほとんど進まず将来的な改善も見込めません。
予算額が十分ある伸びしろのある広告媒体にその予算を入れる方が再現性も将来性もあるためより有望です。大抵はGoogle広告かMeta広告がそうした場合に予算投下候補になるはずです。
もちろん競合他社の広告予算が大きすぎてニッチを狙って競合がやってないような広告媒体に予算を入れざるを得ないこともあると思います。しかしながら、競合がまねできないような奇抜で独自性のあるクリエイティブで広告出稿してないのであれば、広告予算削減の通達があった時点でその広告出稿からは一時撤退するというのも大いに考慮すべきでしょう。
おわりに
以上、3ステップに分けて広告予算削減時の広告運用の立て直し方についての説明でした。
「予算削減されたからもうダメだ……」と腐らずに、どんな状況となってもそれを改善の機会と捉えてそれでも期待を超えて見せるべく取り組んでいきましょう!