「日本語がフルサポートされていないように思える」のプラクティス
(400字)
手堅いヤマだ。新月の夜更け、人通りの途絶えた繁華街、電灯明るくシャッターも開いたままのコンビニに、武装した男四人が押し入る。たとえ初めて訪れた町だろうと、店の前に小汚い少女が二人座り込んでいようと、手堅いヤマのはずだった。
俺は拳銃を落とした。扉を押し開けようとした俺の腕は、立ち上がった少女の一人に握り潰されつつあった。襤褸から覗く細腕には、いや、人間にはありえない握力だった。
「襲う店を間違えたなあ、ヤーパン」
もう一人の少女が両手の拳銃を後ろの三人に突きつけて言った。男どもは両手を上げてヘラヘラと笑い、俺と少女たちを見比べていた。まるですべてが冗談だという風に。
「アアアアア! 冗談、冗談なんだ!」
俺の口から出た声は無様に裏返っていた。拳銃を持つ少女は笑った。
「悪いが、うちの妹は日本語がフルサポートされてなくてね」
俺は腕を潰す"妹"の顔を見た。その美しい眼球の奥底には"4643"の刻印があった。 【関係者様カラダニキヲツケテネ……】
追記!(2018/12/22)