少年たちの挨拶が見知らぬことばだった朝のこと
ひと月ほど前の朝のこと。
「ドンキホーテ・うましお!」と友人に声を掛けている少年を、反対側の歩道から見かけた。
一体、どういう意味なのだろう。
気になって注目していると、そうやって肩を叩かれたもう1人の少年は「おお。」と顔をあげ、特に変わった反応もなくふたりの会話は始まった。
はて、これは小学生で流行っている挨拶なのだろうか?
やはり気になって他の小学生のグループを観察してみても、誰も「ドンキホーテ・うましお!」などと声はかけていないし、そもそも挨拶でもないのかもしれない。
以降、この単語を耳にしていない。
2、3日経ち、あの少年は何と言っていたのだっけ、と考えた。
しばらくして、「ドンキホーテ・うましお!」をふと思い出し、iPhoneのメモに残した。そして今、メモにある見知らぬことばをもう一度、目にしている。
妙に心に残っているのは何故だろう。
「ドンキホーテ・うましお!」という、特に意味のない声かけから始まる少年たちの1日が魅力的に見えたのだろうか。
彼らの日々が、くだらなくて楽しくて、愉快なものなんだろうなと想像したからだろうか。
意味のないことばを何の気なしに掛けられる友人がいること、
それをなんてことない顔で聞き流しながら横を歩く友人がいること、
なんだかそれって、あったかい。そう思った。
大人になって、なんでもかんでも意味を求められるし、考えてしまうことが多くなった気がするけれど
特に意味のないものを大切にしたり、ケラケラ笑ったり、
そうして居られるといいよなぁ。
ドンキホーテ・うましお!
(なにか流行り言葉だったりして)
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