「魔女の旅々」文字解読史❶―カーシヴ篇―
※注意※ 用語や記述は全部非公式であり、あくまで私個人の解釈である。
――この世界には、主に二種類の文字:民衆文字と儀礼文字が存在し、どれも国を跨って広く使われている。そして、民衆文字には三種類の書体が存在する。ここでは、タイトル頁などに見られる手書き文字「カーシヴ」について解説し、及びそれを解読した経緯を記す。
解読の始まり
カーシヴの解読の最も基本的な文献資料は、毎章のタイトルである。この資料の素晴らしいところは、バイリンガル・テキストであること、つまり、日本語の訳文がついているため、解読に大変便利な材料である。
第一章「魔女見習のイレイナ」。今のところは、文字を全く知らないため、一見何も手がかりがないが、実はこれだけでかなり情報が読み取れる。例えば、ここには読点があること、「Χχχχχχ, χχχ Χχχχχχχχχχ Χχχχχ」(本稿では、便宜上ギリシア文字 Χ χ まだ未知であることを示す)という構造を持っていることが分かる。「○○、○○○○○○」という構造は、我々の知る自然言語の書記言語では、何かを説明しているようであるから、「χχχ Χχχχχχχχχχ Χχχχχ」は「Χχχχχχ」について説明していると仮定しよう。訳文も、この仮定とさほど違わない。というのも、「魔女見習いイレイナ」は、「イレイナ」について「魔女見習い」と説明しているように捉えられる。
「イレイナ」は明らかに人名で、主人公の名前である。実は固有名詞は言語を跨っても往々にして翻訳されないという特徴を持つため、何かしらの文字や言語を解読する時に、非常に有用である。ロゼッタストーンを解読する時にも、固有名詞が役に立ったという話をよく聞く。
まず、公式サイトなどからわかるように、「魔女の旅々」の英題は「The Journey of Elaina」である。依って、主人公「イレイナ」のアルファベット綴りは「Elaina」であることがわかる。だから、我々は「Χχχχχχ, χχχ Χχχχχχχχχχ Χχχχχ」を「Elaina, χχχ Χχχχχχχχχχ Χχχχχ」と仮定しよう。そうすると下の図のようになる。嬉しいことに、第三文字と最後の文字は、英語で同じ a となるように、下にも同じ |a| となっている(本文では |a| のようにそれと対応する文字を表す)。(+E | +a +i +l +n)
ということで、我々は大文字1つ(E)、小文字4つ(a i l n)を仮定できた。では、このタイトルに出てくる同様な文字を解読してみよう。
「Elaina, χχ(e) (A)χχχ(e)nχχχ(e) Χiχχχ」と、なぜ A や e に括弧をつけたかというと、必ずしも大文字は小文字と形が同様であることに限らない。これ以上更に推測することができるが、このまま続くより、別の材料を見てみると効率がいいかもしれないので、次の材料を見てみよう。
まず穴埋めをしよう!「Χχχ Χχχχ χχ Χχχχχχχ」→「Χχ(e) (L)anχ χχ Χiχχχ(e)χ」。二つのタイトルを比較するに、以下の二種類のとても似ている言葉が出てくる。
訳文からわかるように、下のは恐らく「魔女」と「魔法使い」のことでしょう。二文字しか異ならないので、同じ言葉の違う形態と考えた方が合理的である。「魔女」と「魔法使い」の違いは一体何だろうと考えたとき、「魔女見習いイレイナ」と「魔法使いの国」の違いを見るとわかりやすい。つまり、一人の魔女=魔法使い、それとも、沢山の魔女=魔法使いの違いである。となると、単数形と複数形なのではないかとわかる。二文字で複数形になるのは、英語では -es、ドイツ語では -en -er -es など、フランス語では -es, -ex などがあるが、今のところではまだ確定できない。
では、意味の方から近づいてみよう!「魔女」や「魔法使い」を考えてみる。英語では witch、ドイツ語では Hexe、フランス語では sorcière となる。そして、witch を当てはめてみると、「Elaina, χχe (A)χχχenχχχe Witch」(魔女見習いイレイナ)、そして「Χχe (L)anχ χχ Witches」(魔法使いの国)となる。とても完璧に嵌められたので、全文が英語であると仮定する。
となると、もうおわかりいただけだろう。見習いの英語は apprentice、国の英語は nation, country, state, land などがある。当てはめてみると「Elaina, the Apprentice Witch」(魔女見習いイレイナ)そして、「The Land of Witches」(魔法使いの国)にある。なるほど!下のこれは定冠詞の the だったのか。(+A E +L +T +W | a +c +d +e +f +h i l n +o +p +r +s +t)
これで、大文字5つ(A E L T W)、小文字14個(a c d e f h i l n o p r s t)になった。とても順調だ。
タイトルを集める
さらに他のタイトルをまとめて、残りの文字を解読しよう!
「The Χirl as (P)rettχ as a (F)lo(w)er」→「The Girl as Pretty as a Flower」(A E +F +G L +P T W | a c d e f h i l n o p r s t +w +y)
「Χottled (H)appiaess」→「Bottled Happiness」としたいところだが、なぜか |n| とあるべきところが |a| となっている。このタイトルを書いている方も、私たちの言語を通じるから(笑)、もしかしたら n につられて同じ形の |a| と書いたのかもしれない。(A +B E F G +H L P T W | a c d e f h i l n o p r s t w y)
#魔女の旅々
— ♪ まくぽっち ♡ (@mkpoli) December 8, 2020
タイトル間違ってんじゃん (笑)
「瓶詰めの幸せ」が Bottled Happiaess ってなってる
多分英語の n を描きたいからその形につられて a と書いた
そして i も一画足りないけどそれは calligraphy 的に大丈夫そう pic.twitter.com/Mus4s6JcM6
「The Χχeen Withoχt (S)χ(b)χects」→「The Queen Without Subjects」なるほど「民」って英語で「Subjects」とも言うんだ。(A B E F G H L P +Q +S T W | a +b c d e f h i +j l n o p r s t +u w y)
「(R)oyal (C)elesteria」→「Royal Celesteria」Celesteria は恐らく固有名詞だけど、イタリア語で -eria というのは場所を表す名詞で、そして celeste は空・天国みたいなという意味で、ラテン語の caelestis に由来する。だから、「Celesteria」というのは恐らく天国みたいな都市という意味を込めた名前だろう。(A B +C E F G H L P Q +R S T W | a b c d e f h i j l n o p r s t u w y)
「The Land of Truth Tellers」(A B C E F G H L P Q R S T W | a b c d e f h i j l n o p r s t u w y)
「The Wall Etched by Traχelers」→「The Wall Etched by Travelers」ここで、イギリス風の「travellers」ではなくアメリカ風の「travelers」となっている。(A B C E F G H L P Q R S T W | a b c d e f h i j l n o p r s t u +v w y)
「The Grape-Stoχpin(g) Girl」→「The Grape-Stomping Girl」stompというのは「足を踏み鳴らす」という意味らしい(A B C E F G H L P Q R S T W | a b c d e f +g h i j l +m n o p r s t u v w y)
「The Ripper」(A B C E F G H L P Q R S T W | a b c d e f g h i j l m n o p r s t u v w y)
「A (D)eep Sorrow from the Past」→「A Deep Sorrow from the Past」 sorrow 結構画数かけているけど、カーシヴだから許されるだろう(A B C +D E F G H L P Q R S T W | a b c d e f g h i j l m n o p r s t u v w y)
「The Two Teachers」(A B C D E F G H L P Q R S T W | a b c d e f g h i j l m n o p r s t u v w y)
まとめ
このように、私たちは大文字15(A B C D E F G H L P Q R S T W)、小文字22(a b c d e f g h i j l m n o p r s t u v w y)、そして2020年12月10日現在放映したすべての章の題名の解読に成功している。
解読できた文字をすべて書き出すとこうなる。大文字と小文字はほぼ同様な形をしていることがわかる。そのため、未見の文字でも、推測することができる。
残りの文字 |K| |k| や |X| |x|、|Z| |z|は、新しい章を待つか、または民衆文字の他の書体から類推するしかない。