何になりたい?
保育園児の頃はお医者さんに憧れていた。
当時は気管支が弱かったので、病院によく通っていたからだと思う。
神妙な顔で自分の胸の音を聴いているお医者さんのまねごとをしたかった。
小学生の頃は学芸員になりたかった。
美術館にいくのが好きだったからだと思う。
中学生の頃は広告代理店で働きたかった。
人にあだ名をつけるのが得意で、ドンピシャな言葉を持ってくる快感を味わえると信じていたからだと思う。
高校生の頃、「将来」を身近に考えなくてはいけなくなった。
何になりたいのか分からなくなった。
「なりたいものは分からないけど、将来の選択肢を増やすために今を頑張る」
という言葉でごまかしていた。
将来と目を合わせようとしていなかった。
大学生になって、「きっと好きなことは放っておいてもやるだろう」という理由から、きっと強制されなければしっかりと勉強しないであろう、「憲法」のゼミに入った。
益々何がしたいのか分からなくなった。
就職活動が辛くなってきた。
「魔法少女になりたい・・・」
が口癖になっていた。
学務が実施してくれた「適職診断」の結果は「俳優、アーティスト」が適職だと示していた。
「は?一体何になったらええんや?!」
と途方に暮れていたら、先輩が半笑いで
「魔法少女に近づいたね。」
と言ってきたので、レーザービームのような視線で焼いておいた。
今の職業は向いているかは分からないけど、就職活動地獄の末、採用してくださったので、何とかして役に立ちたい気持ちはある。
今、何になりたいかと言うと、
今っていうか、来世だけど、
イケメンになりたい。
スポーツ万能で頭もそこそこいいのにめっちゃ性格のいいイケメンになりたい。
っていう話を先輩としていた。
妄想に火がつくとどんどん具体化させたくなる。
「えっ?えっ?何部?何部にする?」
「野球部!野球部がいい!イキってないかんじのイケメンがいいです!そんでもって、マネージャーと付き合いたい!!」
「マネージャーは争奪戦激しいね。」
「『あいつを幸せにできるのはお前しかいねえよ』とライバルに言われる系イケメンになりたい。」
「なりたい。」
という会話に行き着く。
叶えられる夢のことは考えると苦しくなることもあるけど、叶わない夢の話は楽しくて仕方がない。
でも、叶えられる夢のことも考えていたい。
苦しくても
「将来何になろう。」
を考え続けられる大人になりたい。
おばあちゃんになっても考え続けられるようになりたい。