藻掻かない人生なんて、
賢くて、美しい友人がいる。
彼女は常に何かに挑戦し続けている人だ。
彼女のその立ち向かう姿勢に私は何度もパワーをもらっていた。
最近、そんな彼女の原動力が
自分の人生の目標が無く、自分にとっての幸せが何だか分からないこと。
また、それらに悩んでは、そんなことに悩む自分に傷つきやすいこと。
そのためにもがきつづけているためだと初めて知った。
普段の彼女からは思いもよらない理由で、少し驚いた。
それと同時に
「ああ、彼女も『空っぽ』と闘っていたのか」
と思った。
私も、「自分にはこれがある」というものが見つからなくて、「私ってなんてつまらない人間なんだろう」と悩んでいたことがあった。
(『あった』と過去形で言っているけど現在進行系で悩んでいる)
彼女と私とでは悩みの次元が全く違うけれど、彼女も悩み、闘っていたのだと知り、一層愛おしく感じた。
そんな彼女は、勤めていた大きな企業をこの夏に退職した。
そして、秋からロシアの大学で日本語を教え始めた。
「私、ロシアに行くことになった」
と聞いた時には飲んでいるコーヒーを吹きそうになったが、
その時の彼女は何者にも変えがたいくらい輝いていた。
悩み、もがき、苦しんで出した答えなのだと後で知った。
そして、また、その姿からパワーをもらった。
日本を発つ前に彼女から本を何冊か貰った。
「ロシアには大きなトランク1つで行こうと思うから、本は置いて行くことにした」
とのこと。
私が欲しいと言った本に加えて、
「○○ちゃん(私)なら読んでくれそうだから」
と、小さな絵本のような本もおまけでくれた。
さらりとくれたその「おまけ」が嬉しかった。
彼女は私にパワーを与えているだなんて心にも思っていないだろうけど、彼女の生きる姿はいつも私にパワーをくれる。
人は藻掻いている瞬間はとても苦しいけれど、藻掻くからこそ強くなれるし、知らないうちに周囲にパワーを与えているものなのかも知れない。