古き良きものの包容力。
来月、先輩の結婚式に出る。
久々の結婚式すぎて、友人に「ご祝儀の相場って何円だったっけ?」と聞いてしまうくらい。
(呆れ顔で『3万円だよ。1万円じゃだめだからね』と言われた。)
過去には何度も結婚式に出たから、その時のドレスが何着もある。
早速一人ファッションショーを始める。
えっ
似合わない
ことごとく似合わない
すごく似合ったから買った服ばかりなのになにゆえ。
なんていうか、張り切ってる感と違和感がすごいのだ。
「電話の受話器部分がバナナ」
「お内裏様とブロンズ像」
「お刺身の生クリーム添え」
くらいにすごい。
(分かりづらい喩えでごめんな)
その時、私の頭に
「加齢」
という二字熟語がのしかかった。
そうか、そうかそうか。
そういうわけね。
加齢ね。
そりゃ仕方ない。
ひとしきり感傷に浸った後、「どうしよう」が追いかけてきた。
どうしよう。
なに着よう。
どうしよう。
裸?
いや、だめでしょう。
ありの?ままの?姿見せるのよ?
裸?
いやいや、だめでしょう。
思考回路はショート寸前。今すぐ似合う服に会いたいよ。
「楽天市場」という名の楽園(エデン)になら、わたしにも似合うドレスが!!と思い、血まなこで探し、やたら美人のモデルが着ているミディアム丈のワンピースをポチッとした。
届いた。
着てみた。
うわーーん!!
にーあーわーなーいーーー!
鏡の中にはドレスアップした金太郎さんが。
出落ちにもならないこんなの。
この世の終わりだ。
小フーガ ト短調が頭の中で響いた瞬間、母が「着物着てけば?」と言った。
そうか、着物か。
盲点。
着てみた。
しっくりくる。
着物はすごい。
加齢にも優しい。
これでなんとかなりそうだ。
着物という民族衣装がこの世にあってよかった!!
ありがとう着物。
目にも留まらぬスピードで変わりゆくこの世の中で、
何年も変わらず、ずっしりとそこにあり続けるものたちに気付いた時、心が震える。
網戸から吹く涼しい風
麹から作った味噌
白檀の高貴な香り
富士山
踏切の竿の役割を果たし続ける竹
忘れかけてしまうけど、時々見えなくなってしまうけど、伝統はそこにあって、根底に流れている。