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与える人。
ここぞというタイミングで、一番欲しい言葉をくれる人がいる。
ふわふわの綿のような優しさで、それでいて嘘がなく、温かくも力強い、まっすぐな言葉をくれる人だ。
気持ちや言葉の行間まで読み取ってくれる。
もしかしたら、実の親よりも感じ取ってくれているかもしれない。
柔らかく、爽やかで可憐なのに、しっかりと根を張っている、シロツメクサのような人だ。
その人から先日、誕生日プレゼントと手紙をもらった。
手紙の中には「私はいつも与えてもらうばっかりで」という言葉があった。
とんでもない。
「与えてもらうばっかり」は私だ。
彼女と一緒にいると、温めたミルクがお腹の中に広がっていくような、そんな幸せな気持ちになる。
間違いなく与えてもらっているのは私。
そのことを伝えたら、彼女は少し照れて、「与えているという感覚は全くない」と言った。
最も与えている人は、実は「与えていない」と思っている人なのかも知れない、と思った。
意識の外で、もっと言えば「ただ生きている」というだけで、人は人を救うことは、ある。