ニュースウオッチ9に福島の甲状腺 過剰診断について 2021/2/25(木)NHK
ニュースウオッチ9に福島の甲状腺 過剰診断について放送されました
2/25(木) 午後9-午後10時
全国放送です
今はNHK+で見られますが そのうち見られなくなるので
文字起こししておきます
また恥ずかしい漢字間違いをしていないといいのですが
取材 :佐藤志穂(NHK水戸)・吉田明人(NHK福島)
和久田キャスター
東京電力福島第一原発事の故から間なく10年
福島県の子供達を対象に続いてきた検査があります
それが
甲状腺検査です
事故当時18歳以下だったおよそ38万人を対象に行われています
有馬キャスター
これまでガンやその疑いと診断され手術を受けた人は200人以上になるんですけれども
実はこの検査本来は治療の必要のないがんまでみつけてしまうという指摘があるのです
検査を継続するのか 見直すのか
問われているのは不安にどう寄り添うのかです
ここから映像
検査めぐる議論 不安にどう寄り添うのか
原発事故当時福島県の沿岸部に住んでいた女性です
手術をされた女性
手術前に戻りたいと思いました
手術前に喉にかいてもらったマジックで
事故から6年後高校2年生の時に受けた甲状腺検査でがんが見つかりました
手術をされた女性
中学生のときに学校で1回目の検査があって その時は何もなくて
その次高二の時に学校で検査があって県立医大に行ってくださいと言う通知だったので
喉に針を刺して直接細胞を見て すぐその場で悪性だねと言われたので
みつかったがんは手術の目安となる10ミリを超えていたため甲状腺の半分を摘出することになった女性
不安が薄れつつある中で不安が薄れつつあった中で突き付けられた現実でした
手術をされた女性
急にあまり実感がないけど
巨大なことが入ってきて
どう受け止めたらいいかなぁと言う感じでした
術後も合併症のリスクやホルモンの減少による体調不良などが指摘される甲状腺がん
今は県外に住んでいるため年に1度は検査のため福島県内の病院に通っています
福島 甲状腺検査 指摘される『過剰診断』 の可能性
原発事故によって大量に放出された放射性ヨウ素
成長に必要なホルモンを分泌する甲状腺に蓄積されやすい性質を持ち
その量によってはがんになる可能性もあります
しかし福島では個人が実際にどれだけ被爆したのかほとんどわかっていません
県民の間で不安が高まり事故の7ヶ月後 県は甲状腺検査を開始しました
最初は事故当時18歳以下だった胎児を含む全ての子供38万人
20歳までは2年に一回行われます
検査の結果これまでにがんやその疑いと診断されたのは252人
このうちおよそ8割の203人が手術を受けました
通常の診療で1年に見つかるのは100万人に2人程度と言われる子供の甲状腺癌
福島で、より多くのがんが見つかる理由について
県の検討委員会は推定される被曝線量が小さいことなどを理由に放射線の影響とは考えにくいとしています
ではなぜなのか、指摘されているのが『過剰診断』の可能性です
甲状腺がんには治療が必要なものがある一方で、症状が現れず死に結びつく事は無い『潜在がん』があることがわかっています
『過剰診断』とはたくさんの人を一斉に検査することで治療の必要がない『潜在がん』を多く見つけてしまうことです
検査の方法に問題があると指摘する医師がいます
福島県に住む内科医の緑川早苗さんです
学校でやる検査はやっぱり、どうしても受けたくないって言う人の意思が尊重されないので
学校で検査をやるやり方は変えたほうがいいんじゃないか
福島県では小中学校や高校で一斉に検査が行われ、大部分の子供たちが受けています
この方法が『過剰診断』を生みやすくしているとして見直しを訴えているのです
(ここから過去の映像になる)
緑川医師は去年まで甲状腺検査を担う福島県立医科大学に所属し
一時は検査室長として現場を取りとり仕切る立場にもありました
実際に検査を行う傍ら県内外を訪ね、不安を抱える人たちの声に耳を傾けてきました
説明会の映像
少年
僕がんになるの?
緑川医師
がんになるか心配?
(母親)検査でみました
検査で何もなかったら大丈夫 がんじゃないから
検査開始から1年もたたないうちに次々にがんが見つかり
疑問を感じていた中で指摘されたのが『過剰診断』の可能性でした
(今の時代の映像になる)
緑川さんは大学に対し
『過剰診断』のリスクを子供たちにしっかりと理解しでもらった上で検査を変える仕組みに変えるべきだと大学に提案しました
しかし、受け入れられず
去年大学を退職したといいます
緑川医師
がん患者として生きなくちゃいけなくなるって言うようなことを背負わせるのは
しかも非常に若いうちに背負わせるのは大きなデメリットだと思います
私は何万人も検査してますからそのことについては一生自分を責めて生きると思います
一方今のやり方で検査を維持すべきと言う専門家もいます
福島県の検討委員会の委員を務める をしている吉田明医師です
子供たちが事故直後、実際にどれだけ被曝したのかほとんどわかっていないことなどから放射線の影響を長期間にわたって調べるべきだといいます
吉田明医師
1番その放射線の感受性があると考えられるですね事故当時0歳とか1歳の子供たちがですねまぁ少なくとも高校生位になるまではですね 見ていかないとですね あの十分な観察をしたと言うような事は言えないのではないかと
検査を行っている福島県立医科大学は
過剰診断のリスクをゼロにはできないとしつつも県民の不安に応える役割があるといいます
福島県立医大 志村浩己 医師
放射線被曝による健康被害の不安が極めて高くなりまして
県民の検査の要望が極めて大きい中で 検査が開始されました
メリットを最大限確保し デメリットを最小限にする努力を行っていますが
最大限情報をしっかり提供させていただいて、その上で検査を受けるか決めていただければ
有馬キャスター
スタジオにはこの問題を取材してきました佐藤記者です よろしくお願いします
たくさんの方の話を聞いてきたと思うんですけども、実際この検査を受けた、その手術を受けた人たちはどのように受け止めているのでしょうか
佐藤記者
はい、あの患者さんやその家族に取材を重ねてきましたが検査や手術を受けたことについて話を聞いた人の多くの多くは良かったと前向きに捉えています
ただ手術を受けた人の中にはよかったんだっていうふうに思いたいと自分に言い聞かせるように話す人もいて、受け止めの難しさと言うのを感じています
和久田キャスター
受け止めも そして、不安の感じ方も 人それぞれに違うはずですよね
そこにどう答えていくかというのは非常に難しい課題だと思います。
この検査はこれからどうなっていくのでしょうか
佐藤記者
検査のあり方を話し合う県の検討委員会では
学校での検査が義務的になっていないか 教職員や保護者などから聞き取りを行って調べています
ただ座長は見直しには慎重の判断が必要だとしています
福島県県民健康調査検討委員会座長 星北斗医師
自分の将来にも何か影響があるのじゃないかと思って育ってきた子供たちがいる、それを見守ってきた親御さん達がいる。
単純に科学的にこうだから あるいはここうなったからやめましょうと言えるものではない
様々ある一人ひとりにどうやったらもっと寄り添えるのか、私は論点はそこだろうと思っています
佐藤記者
今福島で起きていることは、今も不安を感じて検査を受ける人がいる一方で
検査が必要ないと考える人たちもいます
ただどちらかが間違っていると言うことではないのに、意見が大きく分かれてしまっているんです
先程の星座長は
”10年たっても悩み葛藤していることこそが原発事故の影響であり被害そのものだ”
と話しています
この現実を全国の皆さんにも知ってもらいたいと思います
和久田キャスター
佐藤記者とお伝えしました