路傍講演
路傍講演2017
この場をお借りして一言お話を取り次がせて頂きます。
日本は温帯気候の国であり、春夏秋冬の四季があります。春には桜が咲き、山々は新緑に包まれ、穏やかな日々が続きます。少し暑くなると梅雨が訪れます。毎日曇り空のうっとおしい日が続きます。そして入道雲と夕立、稲妻と雷の音が聞こえるようになると、いよいよ夏の訪れとなります。炎天下の日々、暑いお盆、そして、ひぐらしが鳴いて夏の終わりとなります。9月には台風がやってきます。田畑にトンボが飛ぶようになるともう秋です。日が短くなって、つるべ落としのように太陽が沈みます。山々は赤や黄色の色どりで包まれ、紅葉の季節となります。最も過ごしやすい季節かもしれません。そして木枯らしが吹き始め寒い冬となります。雪が降り、北風が吹き、街が凍りつきます。その根雪が解けると、ふきのとうが芽を出し、いつしか梅の花が蕾を付けるようになります。3月頃になると、強風が吹き春一番が吹き荒れます。そして桜が咲いて春の訪れを告げます。これが、昔からの日本の四季、春夏秋冬の姿であったと思います。
ところが、今はどうでしょう。夏と冬の区別ぐらいはハッキリしているようですが、暑くなったり寒くなったり、雨ばかり降り続いたかと思うと、日照りとなって一滴の雨も降らなくなります。異常気象という言葉が死語となってしまうほど、毎年、異常な気象現象が起こっています。雨が降り続くと川が増水し堤防が決壊して大災害となります。日照りが続くと熱中症で倒れる人が続出し、農作物に被害が出ます。春夏秋冬がすっかり乱れてしまい、人間の生活を脅かしています。竜巻や津波、東日本大震災が多くの町や村が壊滅するという経験したことのない未曾有の大災害をもたらしたことは記憶に新しいと思います。これではとても神様がお望みの陽気ぐらしは出来ません。
神様のお言葉に
この話し何と思うて聞いている 天日火の雨、海は津波や(6.116)
この世界、山壊(ぐゑ))なぞも雷も、地震大風月日立腹(6.91)
雷も地震大風水つきも、これは月日の残念立腹(8.58)
とあります その意味は…
日照り、雷、地震、津波、大風、竜巻、水害、山崩れ、こうした自然災害は人間の生活の誤りに対する神様のお怒りの表現であると教えられているのです。神様が、お前たちの生活は間違っているぞ~!と自然災害を通して教えて下さっているわけです。自然災害の原因は実は、人間の考え方、生き方だったという事を教えて下さっています。
では、その誤りとはどんな誤りだと言うのでしょう。現代文明、人類が始まって以来、こんな超便利で快適な生活を実現した時代があるでしょうか。エアコン、テレビ、パソコン、電子レンジ、冷蔵庫、洗濯機、給湯設備、…。車は言わば動くリビングです。エアコン、テレビ、ナビ、…が標準装備され、どこへでも快適な環境のまま移動する事が出来ます。食べ物や飲み物も、いつでも手に入れる事が出来ます。
こんなすばらしい文明社会の恩恵の中で、私たちはある大事なものを忘れてしまったのではないかと思います。便利さと快適さだけを追い求めた結果、人間生活で一番大事な事を見失ってしまったと思います。それは一言でいえば慎みの心ではないでしょうか。食べたいだけ食べ、飲みたいだけ飲み、やりたい事があれば好きなだけやる、楽をしようと思えばいくらでも楽が出来る。そんな環境に私たちは生きている。そこには有難いとかモッタイナイと言った気持ちは存在しません。それどころか当たり前だと思っています。至る所に慎みの無い生活が蔓延しているように思います。昔は、食事は腹八分目と言って、満腹になるまで食べる事を避けたものです。また、過ぎたるは及ばざるが如しと教えられ、何事も控えめに事を図ったものです。残念ながら、今はこんな諺は、全く聞くことはありません。
こうした慎みの無い考えが人間関係、特に家庭の中に持ち込まれたらどうなるでしょう。夫婦喧嘩が絶えなくなり、家庭が崩壊してしまいます。実際、現代日本の離婚率は4割に限りなく近づいています。大変な問題だと思います。そして夫婦喧嘩の絶えない家庭で育つ子供はまともに育つ筈はありません。いろんな病気になったり、いろんな問題を起こす子供になってしまいます。
神様がお怒りになっているのは、こんな人間の慎みの無い生活なのではないでしょうか。物を大切にし、モッタイナイという心で生活する、妻は夫を立て、夫は妻をイタワリ、夫婦仲良く暮らす事を神様はお望みであります。これを、慎みが理や、慎みが往還という言葉で神様は教えて下っています。
私たち一人ひとりが慎みの心で生活する事こそ、神様のお望みの人間生活であり、昨今の自然災害は、この事を私たち人間に知らして下さっているのだと思います。どんな中も慎みの心を忘れずに通らせて頂きたく事が今一番大事な事ではないかと思います。
今から約三十数年前に来日したマザーテレサは…わたしたち一人一人が、自分の玄関の前を掃除するだけで、全世界はきれいになるでしょう…と言っていますが、これは私たちの目の前の、最も身近な所から始める事こそ問題解決のカギであると言う事を指摘されたのだと思います。どうか、まず自分一人から、家庭の中、社会の中で慎みの心で何事にも当たらせて頂く事を実行させて頂こうではありませんか。
ご清聴ありがとうございました。
路傍講演2019
ただいまよりお話を一言取り次がせて頂きます。今、私達は科学技術文明という超便利社会で生活しております。先日、約33万キロを走った私の車の調子が悪くなり、ディーラーに「そろそろ寿命ですね」と言われ、新車を購入する事になりました。実際に新車で郡山から奈良県の天理まで往復しましたが、そのハイテクに驚かされました。プロパイロットと呼ばれる自動運転の装置があり、ハンドルに設置してあるスイッチを操作すればハンドル操作もいらなければ、右足によるアクセル・ブレーキ操作も必要ないのであります。また、カーナビもただのカーナビではありません。テレビや音楽、動画の視聴だけではなく、スマートフォンと連携して電話、音楽、ナビ操作が全部音声で操作できるようになっています。また、各座席にはUSBケーブルの差し込みジャックが設置されており、どの座席でも充電が出来るのであります。駐車場に着いて駐車する時も、ハンドルを持たないで自動で駐車してくれます。衝突防止の機能があり、完全では無いとはいえ、咄嗟の衝突を自動的に阻止してくれるようになっています。車内は快適な居住性を追求した作りとなっており、エアコンのスイッチを入れれば、正に、動くリビングと言って良いでしょう。これから先には、IT人工知能が搭載された完全自動運転の車が開発される日が来るかもしれません。
車だけではありません。スマートフォンは今や全世界に普及していますが、スマートフォンとは要するに携帯用コンピューターであります。現代は、全世界の一人ひとりが皆、自分だけのコンピューターを携帯して持ち歩くという驚くべき時代なのであります。皆さんも既に経験済だとは思いますが、スマートフォンは電話やメールだけではなく、人間の要求に応じた、ありとあらゆるアプリが用意され、いつでもどこでもそれを入手、利用できるのであります。ゲームやったり映画を見たり、さらには道案内までしてくれます。その検索機能を利用すればなんでも瞬時に知る事ができます。医療から娯楽まで、必要な情報を必要な時に引き出す事ができるのであります。辞書や電車の時刻表も持ち歩く必要はありません。買い物から旅館やホテルの予約、チケットの購入、交通機関の座席の予約、医療機関の予約、など、いつでも、どこでもスマートフォンさえあれば出来るのであります。こんな便利な時代が未だかつてあったでしょうか。人類の英知に驚く他はありません。
さて先日、台風15号が日本列島を襲いました。千葉県では甚大な被害を受けた事が報道されました。テレビカメラの前で、毎日が原始時代のようだと嘆き訴えていた男性がいました。電気ガス水道が止まり、電話もスマートフォンも使用できない。頼みの綱の車もガソリン切れで利用できない。まさに、科学技術文明が崩壊した姿を私達はテレビ画面を通して垣間見たのであります。いかにすばらしい超便利社会、その現代文明も一度の台風で崩壊してしまったのであります。それは、人間が築き上げたどんなに素晴らしい文明も、大自然の圧倒的なパワーにはとうてい及ばないという事を示していると思います。そして私達の人間社会は大自然という大きな懐の中で生かされているという事が改めて明らかになったのであります。
私達は、親神様の懐住まいをしていると教えらえています。大自然とは神様の懐と同じであり、人間はその懐で神様に守られて生きているのだと教えられています。火と水とが一の神、風より他に神はなし…とも教えられ、太陽の光と熱、地球を覆いつくす水、そして空気を動かす風、その神の働きの中で人間は快適な生活をする事が許されているのであります。どんなに文明が発展進化しても親神様のこの御守護がなければ、人間生活は成り立たないのであります。
私達人間は、この大自然の恵み、すなわち親神様の御守護を知り、その恵と御守護に感謝する行いを忘れてはなりません。では、その行いとは、どんな行いなのでしょう。親神様が人間をお創りくだされた目的とは、人間を創りその陽気暮らしを見て共に楽しみたいと思召されて人間は創造されたのだと教えられています。陽気ぐらしとは人間が互いに立て合い助け合う暮らし方であります。つまり、感謝の行いとは、地球上の人類が大自然の懐で皆仲良く暮らす事なのであります。その為には、まず夫婦が仲よく暮らすという事、円満な家庭を築く事が一番大事な事であります。円満家庭が一つひとつ増えて行く、その先に、世界一列兄弟が仲良く暮らすという世界が実現される日が来るのであります。世界人類が一列兄弟として仲良く暮らす事ができるならば、自然災害は無くなって行くでしょう。なぜなら自然災害とは陽気暮らしの出来ていない人類社会に対する神様からのメッセージ他ならないからなのであります。
どうか皆さんの家庭でも、夫婦仲良く円満家庭を築く道をお通り頂きたいと思います。どうすれば円満家庭を築く事が出来るのか、知りたい方はお近くの天理教の教会までお越しください。責任を持って、陽気暮らしの道案内をさせて頂きます。ご清聴ありがとうございました。