令和の時代に若手芸人が売れる方法とモデルケース〜東京吉本の若手と田中と益村で考える〜

令和4年、2022年現在、数多くの若手芸人が台頭している。
その出自を辿ると賞レースで優勝ないし決勝に進出した芸人、キャラのある芸人、はたまたある番組で司会者やスタッフにハマった芸人など様々な売れ方をしている。
では今時点でこれから売れるにはどうしたら良いのか、これまでのモデルケースとも比べながら考えていきたい。

パターン1 賞レース
言わずもがな今時点で売れる最も「確実」な手は賞レースである。M-1開始当初からそうではあるのだが、2018年の霜降り明星あたりから更に風向きは追い風に変わりつつあり、2020年以降は特にM-1において決勝進出全組にその後のテレビ出演やメディア露出のチャンスが増えている印象を受ける。
2021年4月より始まったラヴィットはM-1だけでなくキングオブコント決勝進出者もほぼ全て出演させている。
そしてこれはM-1やキングオブコントだけではなく、R-1やThe Wなど他賞レースにも業界全体で及んでいる。

ただ一行目で書いた通り「確実」なことには間違いないが賞レース自体が一定レベル以上まで行くと運要素が非常に強い厳しすぎる道のりのため「最短」とは限らない。
準々決勝まででもお笑いファンからの目をつけることはできるが、テレビスターになるには決勝進出が絶対条件。敗者復活戦でも厳しい。

ではこの賞レース以外のルートはあるのだろうか。

パターン2 キャラがハマる
賞レース以外でキャラを持って売れる。これも昔からの王道だ。
パターン3以降とも重なってくるのだが、最近で言えばティモンディやフワちゃん、EXITなどがこれに当たるだろうか。
ただいわゆる一発屋に該当しがちなこの売れ方も年々減っているような、、

パターン3 特定の番組や司会者にハマる
これもまた王道パターンである。パターン2と合わさるパターンが多く、あくまで一例だが、大体下記の通りになると思う。

ゴッドタン:三四郎、EXIT、ティモンディ
うちのガヤ:フワちゃん、Mr.シャチホコ、アイデンティティ田島、R藤本
向上委員会:ワタリ119、バッドナイス常田
有田ジェネレーション:ヒコロヒー、納言
アメトーク(パクられたい):永野

他にはおもしろ荘もこれに該当させて良いだろう。
しかしこれもまた最近はそこまで多くない印象。
例えばゴッドタンは「この若手知ってんのか?」という企画が主に該当するが、これもKプロ出演芸人からのセレクトとなっており、ただ吉本の劇場に出ているだけではチャンスが回ってくるわけではないであろう。

また、超大御所司会でなくとも、売れてる芸人に呼ばれてというパターンもある。ニューヨークは自身の冠番組でニューヨーク周りの芸人を多くゲストに招き雇用を生み出している。が、そこから他番組にまで大売れとまではいっていない。

パターン4 YouTubeやTikTokなど他媒体でバズる
テレビが必ずしも第一歩目とは限らないのがこの令和の時代。YouTubeやTikTokで話題の!という売り文句は多く聞く。
しかし実際テレビに定着した芸人はと考えると実はそこまで数は多くない。

フワちゃんや土佐兄弟、丸山礼など

出自元のプラットフォームでは固い人気を保てるものの、ここからテレビのトップスターになるにはまた高い壁があるように感じる。
もちろんフワちゃんは除く。
そしてテレビじゃなくてYouTubeだけで十分と思っているタイプも除く。

パターン5 第七世代
これは特殊ケースだが、賞レースで結果を残したハナコや霜降り明星以外でも彼らと年の近い芸人が第七世代としてフューチャーされた。
宮下草薙、四千頭身、ぼる塾など

今後またもしかしたらこういうケースで集団で売れるということもあるかもしれないが、一旦考慮から外した方が良いだろう。
しかしこれもただ若いだけではなく、奇抜なネタやキャラクターが評価されたということは留意されたい。

パターン6 オーディションやスカウトで番組レギュラーになる
賞レースのない時代、90年代のテレビやめちゃイケをイメージした。
劇場などで面白いと噂を作り、テレビマンが劇場に見に行ってテレビに引っ張って行くパターンだ。
これも今の時代にはあまりない気がする。。

とりあえず考えられるとすればこの6パターンだろうか。

ニューヨークがテレビに多く出演するようになり、幾度と語っていることがある。それは
「芸能界は一つの学校の一軍(中心メンバー)集団であり、その一軍の友達同士の遊びに外部から突然加わるには何か特別な理由が必要になる」ということだ。

「賞レースで決勝に進出した」「YouTubeやTikTokで登録者〇〇万人」という客観的な指標があればそれが特別な理由になるし、圧倒的なキャラクターや、司会者(一軍の更に中心)に気に入られればそれもまた遊びに加わる十分な理由になりうるであろう。

ラヴィットやバラバラ大作戦など、芸人が出演する番組はこの数年で更に増えてきており、芸人界全体に追い風が吹いている。
・予算削減によりいわゆるテレビタレントよりもギャラが安く済む
・芸人がいると現場が盛り上がる
・数が多く替えが効きやすい
なども追い風の原因と考えられる。

しかしこんな追い風な状況であっても、この特別な理由がない限りはどんなに面白くても売れることがないというのは昔からの悲しい現実だ。

番外編 東京吉本の若手芸人が売れるには
本記事作成の背景は、私が以前に記事にした東京吉本所属の田中と益村が売れるにはどうしたら良いのだろうか?と考え、一旦内容を整理したかったというのがある。

しかしどうだろう、ここまで書いて振り返ると、東京吉本の芸人が自前の劇場をしっかりと有するというメリットを活かして売れているケースがほとんどない気がする、、。

若手芸人は劇場メンバーを目指して日々努力に励んでいるが、無限大や神保町の劇場メンバーで、劇場メンバーということだけを理由に近年テレビで売れた芸人はいるのだろうか?ほとんどいないはずだ。
もちろん劇場メンバーになることで特に先輩へのコネクションが築けて、先に売れる先輩がテレビに呼んでくれるということはあるはずだが、劇場メンバーになることがテレビで売れるためのゴールではないのは難しい問題だと思う。

それがあってなのかはわからないが、神保町の若手は積極的にYouTubeや TikTokに取り組み、しかも中には自身を芸人とははっきり言わずに一YouTuber、TikTokerとして活動している芸人が多い。そんな戦略の彼らがテレビに出たいと思っているのかはまた気になるところである。

話を田中と益村に戻そう。
現状はstand fmで一部人気芸人よりも放送単位でのいいね数が多かったりと非常に調子が良い。
「stand fmで話題の!」と話題になればそれが理想だが、そうなるプラットフォームかと言えば今時点ではまだであろう。
益村が大迫マミとカバパレードを結成したこともあり、コンビではないこのユニット活動に今後どこまで本腰を入れてくれるかはわからないが、可能であればYouTubeなど他媒体での活躍も期待したい。

まとめ
抑え直す形になるが、やはり売れるに「確実」な手は賞レース。追ってSNSバズりやキャラクターとなっていく。これが原則なのは間違いない。
この表ルート以外でルートを探すとすれば、裏ルート。
つまり、作家やテレビマンなど業界人にハマって、キャスティング担当にまで響かせる。
「なんか面白い奴らがいるらしい。呼んでみよう。」
「あの番組に出てたあいつらよくわかんないけど面白かったな、うちにも呼ぼう。」
これしかない。

今後もテレビ越しに新しいテレビスターが生まれていく様子を観察していきたい。

(追記)
趣味や一芸でテレビに出演するパターンもある。
が、趣味や一芸のみだけでテレビに出た大半はそのままその趣味の人になってしまい、テレビスターにまでなるイメージはない。
上記パターン1〜6で出た上で更に趣味や一芸で幅を見せるというのが良いと思っている。

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