モノオペラ 「 ガラシャ 」 に乾杯。 ~ day 497 (2020.11.20)
「 1000枚のビールのある風景 」
1000日間、毎日呑むビールの写真をあげながら、ビールそのものの話だったり、その日の出来事だったりを記事にしてます。
497日目。
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今宵は、いつになく文化的に過ごします。
世界に先駆けて、上賀茂神社 で演じられる、モノオペラ「ガラシャ」にご招待をいただきました。
昼過ぎまで降っていた雨も上がって、ここ数日の季節外れの暖かさも落ち着いて、ほどよい感じの気候。しばしの間、鴨川沿いをふらふらとおさんぽしながら、上賀茂神社 を目指します。
開演は17時半。陽も落ち切った薄暗がりの中に、橋殿の前に据えられた舞台が映えます。
公演に先駆けて、上賀茂神社 の神職の方が のりと をあげ、それから観世流の能楽師である 林宗一郎 さんが、細川ガラシャ が詠んだという疫病退散の歌を舞い、奉納。
” いかでかは 御裳濯川の流れ汲む 人にたたらむ 疫れいの神 ”
この舞台の登場人物は、世界を舞台に活躍されている、ソプラノ歌手の 田中彩子さん が主演で 細川ガラシャ 役。そして幅広い役をこなす俳優の 升毅さん が、小笠原小斎 役。このふたりだけ。
舞台装飾も、藍染めの張が一枚あるだけ。
音楽も、ピアノ、チェロ、フルート、パーカッション による カルテット のみという構成。
小笠原小斎 の語りと、細川ガラシャ の歌が交錯する形で物語が進んでいって、1時間と少しの舞台はあっという間でした。
総合プロデュースも務めた、田中彩子さん のライナーノーツには、” モノオペラ ” というスタイルにこだわった理由が記されています。
ひとつは今後世界ツアーをするにあたり、なるべく少人数でミニマルなものにしたかったこと。そしてもうひとつは、
“どのような環境や国でも、よりたくさんの⽅々に⾒に来て頂きたい、⾒に来ていただく可能性を広げたい“
と考えたからです。
そして、歌のほとんどには歌詞がなく、ノンバーバルで世界各国の方にたのしんでいただける構成。
そして、こういった構成は、” SDGs ” を意識してのことだそうです。
それにしても、白装束をまとった田中さんの姿のうつくしさと、その歌声には圧倒されました…
目の前にいるので、歌が直接聞こえてくるのですが、それだけでなく、境内に染み渡って全方向から響いてくるような…そんな体験は初めて。
舞台の終盤にガラシャの身に迫る、ある事。
その時を諮ったかのように、突然に風が会場全体を吹き渡り、境内の樹々がざわめいて、ストーリーと舞台と演者のすべてが、一体となったような雰囲気が漂います。
なかなか得難い、ステキな時間を過ごさせていただきました。
ここちよい余韻を残しながら、この日のビールは 桃ヴァイツェン の川中島 ver. 。
やさしさと、やわらかさと、その一方で、凛とした雰囲気を漂わせる、細川ガラシャ と それを演じる 田中彩子さん に重ねてみました。
それにしても、升毅さん の姿をこのような形でリアルに目にすることができるとは。
実は箕面自由学園卒。そして演劇ユニット” 売名行為 ” 時代の、” 現代用語の基礎体力 ” 〜 ” ムイミダス ” 〜 ” 未確認飛行ぶっとい ” に至る、一連のナンセンスな深夜番組の数々のころから知っている身としては、いまだに目の離せない役者のひとり。
今後に続いていくであろう、世界各国への公演の巡回も、ぜひともこのまま升毅さん でお願いします!
この日も、濃密な1日でした。ごちそうさま。