Weekend milk / HACHI 夜を好きでいられるのは電気があるから
夜ふかしの入り口くらいの時間、ふと無性に孤独であることを自覚して、それがおセンチなシチュエーションであることを自覚しつつ、そのやや中二めいた「独り」の実感に浸って……みたいな、そういう静かで行き場のないトキメキと呼ぶにはちょっと恥ずかしい何か。
そういうの、心に飼ってますよね。
この曲は優しくて穏やかなんだけど、確かに寂しくて。
つまり大好物ということです。
HACHI×海野水玉(敬称略)の組み合わせ、あまりにも強い……大当たりしかない……………
オタクの情緒がお世話になってます。
細かい好きポイントを並べていくと、冒頭の吐息から始まり、サビの端々でほんの僅かな溜めを作ったり、大サビ前の「白いベール」で声を掠れさせたり。
そういう歌い回しで的確に気持ちよく心を刺してくるところとか。
「誰も愛せない 誰も許せない気がして」と語った後、「スマホは仕舞ったの」で一気に身近な手触りを描いてくるところとか。
「白いレースをふわり纏って」のあたりの包み込むような、どこか優雅で不意に香るような甘さがあるところとか。
力まず口ずさむような歌がオートチューンで揺らめくことで、意識の中へ微かに夢が混じったような空気が流れているところとか。
「私の神様」と、ほろりと溶けていくような声で、その夢の気配の余韻がしっとりと伸びていくところとか。
八月の蛍でも強烈だったんですが、強い感情から少しだけ離れた場所に立ってそれを眺めるような歌が本当に好き……
客観に近い位置から表現されるからこそより如実に、細部の輪郭を伴って伝わるようなところがたまらんのです。
んでもって歌の話ばっかりしたけど、その舞台を作り込んでくるアレンジやサウンドもすごく美味しくて……意外と緩急のあるメロディとか、一曲通しての没入感がとにかく心地よいのです。
ということで各位、手元に蜂蜜を少し垂らしたホットミルクを置いて、椅子の背もたれにしっかり寄り掛かった状態で、とりあえず3回聞いてください。