勝手に読後レビュー【推理の時間です】 〜謎解きと小説の違い〜
どうも、みことのは です。
私はミステリー小説が好きで、何年か前までは【謎解き】というコンテンツにも仕事で少し関わっていました。
読書だけじゃなくもちろん謎解きも好きで、街を巡ったりお店の個室に入って謎解きを楽しんだりもしましたが、心の奥底で【普段読むミステリー小説と謎解きは同じものなのか?違うのか?】を疑問視もしていました。
そんな疑問を私なりに初めて解決できたのがこの書籍。
【推理の時間です】です。
本書をミステリー小説として購入しました。が、読めば読むほど、ミステリー小説と謎解きの違いが理解できたような気がします。
今回は単純な感想と共に、私が感じた【違い】のご紹介もしたいと思います。なるべくネタバレは避けようと思いますが、ストーリーや構成に触れることもありますので、その点は予めご容赦を^^
1、まずは本作品の感想から
そもそも本作品は前口上で語られている通り、【メフィストリーダーズクラブ】という集まりのオンラインイベントが発端だそうです。名のある作家の先生方が問題編を出し、それを参加者の皆さんが解いていく。
そんなイベントを書籍にしたそうです。
なのでこの作品は、6人の作家先生による問題編と、袋とじになった解決編に分かれています。全て短編。加えて、巻末に各先生方も謎解きに参加した推理考察も書かれています。
ファンの方からするとボーナストラックですね^^
作家先生は6名(敬称略)
法月綸太郎
方丈貴恵
我孫子武丸
田中啓文
北山猛邦
伊吹亜門
作品の縛りは3種
フーダニット(誰が?)
ハウダニット(なぜ?どうして?)
ハウダニット(どうやって?)
それぞれの先生が問題編を書き、解答編を書く。
そんな短編集なので、1つ1つのお話は手間とページ数を省かないといけません。お話よりも謎解きのエッセンスを散りばめなければ。
小説では世界観や時代背景に時間や文字を要したりもしますが、そこは端折られます。世界観の理解を深めるのは、各々でどうぞ。てな感じ。
いわば、物語に関しては【手間と効率化】で分断された感じがしました。
だから、【小説】として購入した私には少しとっつきにくい感想。
さすがの先生方なのでそれでも物語は面白いですが、江戸時代や戦争中の海外など【もともとある世界観だから自分で学んでから入ってきてね】といった感じで突き放された印象を持ったのは私だけでしょうか。
この書籍は前口上で書かれている通り、あくまでも【謎解き】。
そういった意識で読む(挑む?)方が良いと思います。
2、【ミステリー小説と謎解きの違い】の私見
もう既に前段でほぼ語ってしまってはいますが、ミステリー小説はやっぱり小説なのですね。正解を導く問題と答えでは無いんですね。
どんでん返しや伏線回収、謎解きなどもちろんそれらの要素はありますが、それらはあくまで【物語】の中のエッセンス。
読後感が良いも悪いも、それ謎解きに対しての感想ではなく【物語】に対しての感想なのだと思いました。
例えば船に乗るくだりがお話の中にあるとしても、いつどんな状況で誰がどんな船にどんな心情で乗るのか。それが船なのか舟なのか?そういった五感では感じ足りない事も小説ではきめ細かく表現してくれます。しかも、それが説明文にならないように。
謎解きは、その逆だと思います。5W 1Hを必要最低限にして端折ります。散りばめられるのは、お話ではなく情報。あくまでも解くための鍵。
どちらも楽しみ方は違います。
上だ下だと優劣を決めるものでもありません。
この作品を通じて、学べたことに感謝したいと思います。
ありがとうございます。
謎解きが好きな方は是非手に取って読んでみて下さい。
逆にミステリー小説が好きな方には特段オススメしません。
でも、面白かったですよ^^
それが私なりの感想です。
では、また。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。