一日一つ機械の小ネタ 五粒目「アルミ合金」
機械の小ネタ五粒目です。
今日は「アルミ合金」について。
サムネイル画像はアルミニウムワールドより拝借しました。
アルミニウムは私たちの生活にかなり身近な金属ですよね。一円玉にも使われているので、よく見かける金属ランキングなら鉄に続いて2位にランクインするのではないでしょうか?
ところで、一円玉以外の製品でアルミが使われている所、パッと言えますか?結構難しくないですか?
滅茶苦茶使われているのに一般にはちょっと影の薄い金属、アルミニウムとその合金が今日の主人公です。
(まぁそもそも金属=鉄のイメージが強すぎるのが原因だと思いますが...)
アルミニウムは軽量・高強度で注目された金属です。航空機や新幹線などの軽量化が必須の場面で多用されます。それ以外だと自動車のタイヤホイールや窓のサッシ、ガスボンベの容器、配管なんかに使われているわけですが、さすがに用途に幅があるためその材質も少しずつ違うものが使われています。で、この時使われているのが合金の技術です。
合金ってそもそも何?という方にざっくり説明すると複数の金属を混ぜ混ぜして強度を高めたり、耐食性(錆びづらさ)を向上させたりする技術です。バニラアイスにチョコを混ぜればチョコアイスになってよりおいしいみたいなものです。
アルミ合金は大別すると圧延用合金(アルミの角パイプみたいな材)と鋳造用合金(溶かす用)に分けられています。
鋳造用のアルミ合金はAl-Si-○○系(アルミにケイ素と何かを混ぜた合金)が利用されることが多いとだけ書いときます。ちなみにAl-Si系のアルミ合金はシルミンという工業系屈指のかわいい名前で呼ばれています。
より詳しく知りたい方はこちらを読まれると大変面白いかと思います。
さて圧延用アルミ合金ですが、非常にわかりやすい分類が為されており、その添加物(バニラアイスの例でいうとチョコにあたるもの)の種類から1000系~8000系までの8種類に分類されています。
1000系は混ぜ物無しの純アルミ(つまりバニラアイス)で、2000系からはマンガンやマグネシウムなどが添加されています。
細かい話はここまで、では実際に何処に使われているか?
アルミの利用で有名どころといえば航空機があります。
「あれ、でも飛行機のこと良く鉄の塊が空を飛ぶって言うよね」そう思った方、鋭いですね。そして覚えておいてください。飛行機は「鉄の塊」ではなく「アルミの塊」です。そして2度と飛行機のことを「鉄の塊」などと呼ばないでください。「鉄の塊」なんて形容している人を見たら「お前まだそんなこと言ってんのwww」と煽り散らしてください。
失礼、取り乱しました。
航空機には7000系のアルミ合金が使われています。ひと昔前まではボディ、翼などありとあらゆる航空機のフレームに7000系のアルミ合金が使われていました。日本の非常に有名な航空機ゼロ戦も7000系のアルミ(の原型になったアルミ)を使用して作られています。
近年では炭素繊維材料(カーボンファイバーってやつですね)にお株を奪われた感もありますが、未だ軽量・高強度の材料として利用されています。
この7000系アルミ、面白い別称があってその名も超々ジュラルミンといいます。元々2000系にジュラルミンというアルミ合金があり、その改良版が超ジュラルミン、そしてその改良版なので超々ジュラルミンという非常に明快で男子小学生のような名づけです。(※あくまで個人の換装です)
アルミには航空機以外にもたくさんの用途があります。
紙面の都合上これ以上には書けませんが、上に挙げた用途に加え自動車エンジンや船舶フレーム、ジュースの缶、PCの筐体(特にノートPC)など様々なところで使用される愛すべき合金です。日常生活で見かけたときは是非「アルミ合金、お前こんなところにおったんか...」と声をかけてあげてください。
主観と偏見に満ちた今日の一言:
「ちな、高専ロボコンのロボットフレームは6000系アルミ」
五粒目は「アルミ合金」についてでした。
非常にざっくりとしたnoteではありますが、機械や製造の分野に興味をもっていただければ幸いです。