一日一つ機械の小ネタ 十一粒目「鋳造」
機械の小ネタ十一粒目は「鋳造」についてです。
サムネイル画像は株式会社コヤマさんより拝借しました。
鋳造という技術ははるか昔から使われてきました。青銅器なんかも鋳造ですし、大仏様も鋳造です。細かい文様のあるものや、大きなものを作ろうとしたとき、人類は鋳造に頼ってきました。
5軸加工機などで細かい形状を仕上げることが出来るようになった今では、「鋳造しか方法が無い」ということは無くなりましたが、「材料の無駄が少ない」や「最終形状に近いものが出来る(=追加工が少なく済む)」などの理由から鋳造が選択されることがあります。
実際、複雑な形状のものほど削りに費やす時間が長くなり、削りカスとしてゴミになってしまう材料の量も多くなります。これは全くもって効率的な方法ではありません。
ですので、荒仕上に近いところまで鋳造で造形し、残りの仕上げを工作機械で行う、荒仕上で構わないところはそのままにする。といった方法をとることで効率的に部品を生産できるようにしています。(削る工具の摩耗を抑えたいという側面もある)
特に大きな部品ほど削る部分は少なくしたいので、船舶用プロペラなどは現在も鋳造+仕上げ加工の方法を使用してます。
鋳造による造形と機械による仕上げ(ナカシマプロペラ社より拝借)
鋳造は鋳型(=耐熱砂の中に作った空洞)に溶かした金属(機械の分野では溶かした金属を「湯」といいます。砂型はさながらバスタブというわけです。)を流し込むことで行います。
湯煎したチョコを型に入れて固めるのと同じです。
近年では3Dプリントの技術が向上し、石膏(美術室の像の原材料ですね)を積み重ねて積層するプリンタが登場しました。
石膏は耐熱性に優れるので鋳造と相性が良く、石膏3Dプリンタで造形した鋳型に溶融金属を流し込むことで鋳造することが出来ます。石膏鋳型自体は昔からありましたが、3Dプリント石膏鋳型は今まで造形が難しかった複雑な形状の鋳型を簡単に造形することが出来るので、鋳造技術をさらに盛り上げる一手として、様々な所で利用されています。
下に石膏鋳型を用いて鋳造を行っておられる会社のリンクを貼っておきます。実製品の紹介があるので、是非リンク先で見てみてください。
主観と偏見に満ちた今日の一言:
「キュポラ(キューポラ)という鋳造の時に鉄を溶かす装置がある。
シルミンに続いて2番目にカワイイ機械用語」
十一粒目は「鋳造」についてでした。
非常にざっくりとしたnoteではありますが、機械や製造の分野に興味をもっていただければ幸いです。