一日一つ機械の小ネタ 九粒目「リベット」
機械の小ネタ九粒目は「リベット」です。
サムネイル画像は大江戸線の浅草駅で撮影した駅舎の柱です。
さて「リベット」というのは八粒目で取り上げた「ボルト」と同じ、物を締結する機能を持った物体です。
複数枚の板に開けた穴にリベットはリベットを通し、スリーブ側(頭部の逆側)をかしめる(つぶす)ことで板を締結します。
構造が単純なので、鉄鋼業が普及した時から広く締結手段として使われてきました。特に大規模鋼構造物(船や橋や建物)の鋼材同士の締結に多用され、業界によっては今でも利用されています。
ひと昔の大規模鋼構造物に鋼製リベットが利用されていたのはそれ以外に鋼の板や材を締結しつつ、強度を保つことが出来る物体が当時リベットしかなかったからだと思いますが(1900年代、溶接は技術的に未完成だった)、現代ではリベットのある特徴から航空分野などでリベットが選択されています。
その特徴に触れる前に溶接技術にちょっとだけ触れます。
1940年代にリバティ船と呼ばれる船がアメリカで製造されました。リバティ船は構造のほとんどを溶接でくっつけて製造することで、製造時間短縮を行ったことで同型船の大量生産を実現することが出来ました。
しかしながら、リバティ船の溶接は材料と溶接品質の問題から溶接部が低温になると脆性的に破壊してしまう問題がありました。つまり船体がクッキーみたいにパキッと割れてしまったのです。
詳しい話は引用リンク先を参照してください。
これが溶接の問題点です。溶接は板や鋼材を連続的にくっつける技術なので、一度ひび割れが広がると、溶接した部分を伝って伝播してしまう危険性があります。もちろん今では技術改善が進んでいるのでそうそうある話ではないですが、根源的にそういった可能性を秘めています。
ここでリベットの話に戻りますが、航空の分野は自動車や船舶の分野よりも高い安全性を求められます。しかも高空を飛行するため温度変化も激しい環境です。そのような分野で亀裂が伝播する可能性のある溶接は利用がためらわれます。(航空で使われるアルミが難溶接材ってのもあるようですが)
対してリベットは、たくさんの穴をあけてリベットをさし、2枚の板を締結するわけですが、この仕組みは亀裂が発生しても伝播しづらくできています。ミシン目のキリトリ線みたいなものです。あれって力を加えるとちょっとずつ裂けるでしょ。機体に亀裂が入ってもすぐに致命的な傷にならないので、その間に機体を空から降ろすことが出来ます。
そういった背景もあって未だにリベットが利用されることがあるようです。
今日の一言:
「お手軽恒久締結にリベットは超優秀、ロボコンでもよくやった」
九粒目は「リベット」についてでした。
非常にざっくりとしたnoteではありますが、機械や製造の分野に興味をもっていただければ幸いです。