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24h

「パンセクシャルで見た目は女ですが」

と話し始めた途端、

「大丈夫です。ちゃんと女の人に見えますから」

との言葉を貰ってからというもの、
こびりついた違和感は カサブタになった。


その違和感は、その時言語化できなかったが、
今はわかる。
見たものを そのままほんとう だ
なんて思っていないし
わたしはいつも好きな物を身につけている。

筋斗雲にのって空を旅している間に
もうそれがいいって決めたのだ。

それは女的と言われる内容かもしれないが、
この肉を纏うじぶんが一番心地よくいられるものが、
結果、コレ なだけだ。


カメレオンは擬態化を悔いているのか?
言われたようなものだった。
そんなわけがない。

これが平常だ。そしてその効果を知っている
そうして生きてきた。
何処にでも入っていけるようにと。
人の中で生きたいと。
生存欲求に近いギリギリにあることは百も承知だ。


何を主張しようとしなくとも
じぶんがじぶんでいる事を
既にこんなにも身を持って突きつけられている。

わざわざ口外して歩く必要もなく
十分だ、この中身だけで。
これだけで既に 両手にあふれそうなのに。

じぶんを生きられる自由を、
わざわざ侵害される隙を、
作りたくはない。

ほとほと、それは、もう邪魔だと感じてる。

集中させてくれ自分に。
好きだと感じるこの心に。
味わいたい。喰らいたい。じぶんらしく生きたい。
生きている事実を思い知りたい。


人体図鑑にある通り、
ネジとネジ穴は同じ形をしている。
その機能を作る装置を内包し
頭頂からその指示はとめどなく流れてくる。

この 不自由さの根源 であり
かけがえのない じぶん。

たかが蛋白質に
電気に
単純なものに 奪われるじぶん。

他の誰でもないじぶんがじぶんを搾取する。
呪いと祝福の源。

二つの平行線は、永遠にまっすぐなまま
世界の果てに向かっている。


それが、わたしの24時間。
普通の平凡なありきたりな毎日は繰り返される。

日常に潜む狂気を隠したくなって、当然じゃないか。
普通じゃないのか。
言えないのも 悲しいのも。
わかってもらえないと感じるのも。

ただ知っていたいだけなんだ
わたしという人のことを。
この沽券にかかわる一大事を
明け渡す訳にはいかない。

それがふつうでないなら、なにがふつうなのか。

#LGBT #バイセクシャル