お母様の土地を買う?もったいないよ!
先日、お客様がご相談に来られ、お母様の土地を購入し、その土地に自分の家族のために家を建てたいということでした。
息子さんは土地代を安く仕入れてマイホームを建てたい。お母様には多少でも老後資金として渡したいという意図でした。
ただ、問題点が2点あります。
まず1点目は、今、お母様から購入するとお母様に譲渡所得が発生する。
2点目は、また、「いくらでお母様から買うのですか?」と質問したところ、市場(720万円)よりも低い価格(300万円)で買うことが判明。
そうすると、息子さんには贈与税がかかってくる。
(お母様の課税譲渡所得)
●300万円-(15万円+0万円)=285万円
※お母様は、先代から土地を相続で取得しており、誰が買ったかも購入金
額もわからないため、取得費は300万円の5%となり、15万円しか控除で
きない。仲介手数料は0円。
【不動産を譲渡した場合の譲渡所得】
●売却代金-(取得費+譲渡費用)-特別控除額=課税譲渡所得金額
※今回は、マイホームを売る訳ではないので3千万円の特別控除もない。
結果、5年超土地を所有されているとのことなので、長期譲渡になりますが、お母さんは約20%の税金57万円を納付することになります。
(息子さんの贈与税)
●720万円-300万円-110万円=310万円
●310万円×15%-10万円=36万5千円(贈与税)
※土地の時価は720万円、息子さんがお母様から買おうとする金額が300万
円。時価と売買額の差額が贈与税対象の金額となってしまいます。
なんだか税金だけ払っているような感じですよね。もったいない…。
そこで私から提案したのは、お母様がお亡くなりになったら、息子さんは相続人の1人(相続人は息子さんの他に姉2人)なので、その時に考えればよいのでは?と。
つまりは基礎控除があるので相続税がかからない可能性が高い。
基礎控除
3,000万円+600×3人(法定相続人の数=姉2人+息子さん)=4,800万円
「ところでいままで税金の話だったけど、じゃあ具体的にどうするの?」ですよね。
まず、土地はお母様と息子さんとのあいだで「土地使用貸借契約」を締結。使用貸借契約は賃貸借契約と違い無償で貸し借りする契約ですが、固定資産税および都市計画税相当額の負担を息子さんが負うことは認められています。
ちなみに両税金とも、土地にマイホームが建つことにより、固定資産税は1/6、都市計画税は1/3となります。
よって上記の税金は息子さんが負担すれば、お母様としても老後生活の資金に多少はゆとりが出ます。
もちろん契約書にも税金負担は息子さんと織り込みました。
あとは、姉2人もいずれ相続人となるので、姉2人には事前に息子さんから話をしてもらい、遺言書を作成し「この土地は息子に遺贈する」こととしました。
お母様の財産がどれだけあるかの開示は今回はなかったため、遺留分のことまでは不明ですが、この土地に関しては無駄な税金を払わなくすんだのと、事前に相続対策もできたことになります。
他にも相続時精算課税制度とか住宅取得資金の贈与等の利用も考えられますが、お母様の現在の資力と生活資金を考慮すればこれが最善だったのかなと思います。
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