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えっ!、借家人賠償責任保険に入ってないの?

ちょっとビックリしたことがありました。

あるアパートの管理人さんから、住宅賃貸借契約の更新に関してご相談があったのですが、4回目の更新をむかえる入居者が「借家人賠償責任保険」に加入してなかったのです。

なぜ、未加入が判明したかと言いますと、今まで更新を適当にやっていたから見直したいということからでした。
そこで、当社は新たな「更新契約書」と更新の手続きの仕方(マニュアル化)を提案しました。

ちなみに、更新の契約は、再度、新規に住宅賃貸借契約書を締結しても良いですし、当初の賃貸借契約書(原契約)を生かしつつ「更新合意書」でもよいのです。
ただ、「賃借人は、契約期間中、賃借人の負担で、賃借人の家財に対する火災保険(借家人賠償責任保険)に加入するものとする。」という文言は必ず入ってます。

入居者がこの文言が気に入らないということでした。入居者が言うには、「家賃の値上げと一緒のことではないか!」ということらしいです。
家賃と保険は全然ちがうんですけど…。

じゃぁ、そもそも「今、保険はどうなっているの?」と質問。

新規で入居した際には、宅建業者から言われて入ったけど、その後、保険の更新の案内がきても無視していたらしいです。
ここで無保険が判明です。
ただ、今までの契約書チェックの為に、8年前の契約書(当初の契約書)を見たのですが、その当時から保険加入義務は書かれてました。

確かに法律上は、火災保険に加入しなければならないという義務はありません。

ただ、私は、「今まで何もなくてよかったぁ。」と思いました。

なぜなら、入居者には原状回復義務があるからです。万一、火事が起こったら大家さんの火災保険で原状回復しますが、その原状回復費は、大家さんの保険会社が入居者に損害賠償として請求してくるからです。

被害の大きさでも変わってきますが、ボヤでも数百万円、貸室全室が全焼したら1千万円以上はかかるでしょう。
※厳密に言うと、再調達価格(再建築価格)と時価(経年劣化後の価格)が
 あるのですが、大家さんの保険会社は時価で請求してきます。ここでは詳
 しく述べません。

確かに入居者に資力があれば、支払うことは可能ですが、通常、どうですか?
きついですよね。

「借家人賠償責任保険」は、家財補償額や第三者への損害責任補償額により、差がありますが、期間2年で1千万円の保険であれば、17,000円29,000円で加入できます(宅建ファミリー共済の場合)。

また、当初、「えっ、そこをケチってどうするの?」と思いました。

ただ、話をよく聞くと、今まで更新を手伝っていた宅建業者が、入居者に保険の説明が上手くできないがために、「大家さんが火災保険に入っているから、あなたは別に入りたくなければ入らなくて良いですよ」と放置していたらしいです。

確かに大家さんの保険で原状回復できるかもしれません。しかし、重要なのは、保険会社には求償権火事を起こした人に損害賠償する権利)があるということです。

その入居者は、「じゃぁ、保険なんて入りたくないから出ていくわ」と、一度は啖呵を切りました。そして、転居先のアパートも探したのでしょうね。しかし、どこの不動産業者に行っても、「借家人賠償責任保険」に加入することが条件となっていることを知ったみたいです。

結局、入居者から、もう一度、更新の話がしたいということになりました。

そこで、私からの提案で、借家人賠償責任保険に加入されないのであれば、更新契約書の条項の中に、「賃借人が借家人賠償責任保険に加入しないことを選択し、万一、火災、破裂・爆発、漏水等により、建物に損害が生じた際の賃貸人に対して負担する損害賠償責任は、賃借人の責任と負担にて、原状回復するもとする。」という一文を入れさせていただくと言いました。

また、同時に大家さんの保険を使っても、入居者がちゃんと借家人賠償責任保険に加入していれば、その保険でカバーしてくれます(寝タバコや揚げ物をしていた鍋を火にかけたまま長時間家を空けたような場合のような重過失はダメですが)。
しかし、加入してなければ自己負担ですよと説明しました。
つまりは、「誰が一番痛い思いをするの?」です。

結果、入居者にご理解いただき、無事に借家人賠償責任保険に加入し賃貸借契約更新となりました。

めでたしめでたしなのですが、管理する側としましては、更新の際には必ず保険証券の写しを添付してもらい確認することが重要でしょうね。

また、入居者は、保険に加入していれば、万一のことがあった際に、手続き、後片付け、お詫び等大変なことはありますが、お金の面では安心できます。

皆さんも保険がどうなっているか、一度、ご確認ください。

【参考:新ハトマーク補償住宅用】

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