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植野DatPiff日記 10 レゲトン
暑さ続きすぎて、レゲトンばっかり聴いています。DatPiffには、このジャンルのアーティスト達の作品はほぼありませんが(たぶんミックステープ文化ではないから)、いわゆるDJミックスものがたくさんあります。昔の意味の「ミックステープ」ですね。レゲトン、ラテンアーバン、ラテントラップ、ウルヴァーノ、ダンスホール、、、最後の以外は何がどう違うか、実はあまり分かってないんですけど、、、
こういうジャンルの音楽のDJミックスが聴ききれないぐらいいっぱいあって、Bad BunnyやPopcaan、Burna Boy(アフロだけど)などは、そのアーティストだけの曲を主体にしたミックスもあったりするので便利です。しかも、アルバムで1曲ずつじっくり聴くより、こういうDJミックスで聴いたほうがその曲が良く聴こえたりします。何だか生き生きとしてて、本来こうして聴かれるように作ってあるんじゃないか、という気もしてきます。
Bad Bunnyはプエルトリコの人で、19年にリリースした "X100Pre" がすごく良くて、色んな曲調(ギターポップっぽい曲まである)のに全体で統一感があって、1人でラテントラップの幅を拡げているようなセンスと力量がスゴいです。このアルバム、何度も聴いてしまいます。DatPiffには "El Conejo Malo"っていうDJミックスがあって、正式には、同名のコンピがリリースされているんですけど、どうやらそれとは関係なく、よりBad Bunnyのアルバム未収録曲が中心になっててお得感満載です。 "X100Pre" に比べるとトラップサウンドではあるんですが、少し物悲しい感じの愁いを帯びた曲調が多いです。
Popcaanはダンスホールの人で、14年に発売した "Where We Come From" っていう名盤があるんですが、まるまんまそのジャケと同じジャケの "The Unruly Boss" ていうのがDatPiffにあって、これも何がどうなっているのかよく分かりませんが、YoutubeだとVol.8ぐらいまであったりします。内容も "Where We Come From" からの曲を多数含む、この時点でのベスト選曲といった雰囲気もあり、かなり充実した聴き応えのあるミックスになっています。おススメ!
Popcaanは18年に "Forever" というこれまた名盤をリリースしていて、ネットで見かけたところレコードにもなっていて、レコードだと3枚組で8ページのブックレットがついている、かなり豪華な作りになっているようです。いいなあー欲しいー。
OzunaやJ Balvin、Karol Kあたりは、DatPiffにはそういうまとまったミックスがないです。聴きたかったら、検索するとその人の曲が入っているDJミックスが出てくるので、1曲とか2曲なら聴けます。
と、ここまで書いてレゲトンと言って、このへんの人達をひとまとめに紹介しようとしてること自体が無謀だと気付きました。あまり知識がないから書くことが少ないっていうのもあるし、DatPiffにあまりないっていうのもあるけど、、、でも本来、OzunaもJ Balvinも超ド級のアーティストなんで1人1人じっくり聴いて調べて紹介しないといけないぐらいです。反省はしたけど、いちおう続けます。
DJミックスを聴くのは、やっぱり楽しいです。一度聴き始めると次々と違うのを聴いてしまいます。楽しくて、ついアーティストのチェックとか忘れてしまうのでいっこうに詳しくなれませんが(そもそもアーティスト名や曲名が明記されてなかったりします)。
人気があるミックスのシリーズは、Vol.77とかキリがなかったりします。延々と新しいミックスを聴くことができます。
まあ、そういう聴き方はミックスクラウドやサウンドクラウドのほうが適してるかもしれませんが、、、DatPiffでもできるぜっ!って言いたいだけなんです。
ジャケはだいたい、セクシーでダイナマイトなお姉ちゃん数人とマリファナの葉っぱとグラサンのいかつい男です。非常に分かりやすいですね。お姉ちゃんのヒップのアップだけとか、胸のアップだけとかもあります。しかも写真じゃなくてイラストだったりしていいです。まあ、ただの使い回しだと思いますけど。MVもだいたいみんなそんな感じです。
この日記、グッチ・メインの次はヤング・サグを書こうと思って聴いていたら、レゲトンを聴きたくなったのです。サグとフューチャーは、このへんの影響が大きい気がします。
Daddy YankeeとかFurrukoとか、キャリアが長いアーティストになるとベスト盤的なミックスもあります。しかも何種類かあったりします。Farrukoの "The Untouchable Farruko" っていう、限りなく本人が一切タッチしてなさそうな編集盤があるんですが、これもいいミックスでした。全体、ちょっと攻撃的な感じで、ハッタリ音が鳴ったり色々なシンセ音が鳴ってたりしてカッコいいし、テンポよく聴けます。
話はガラリと変わりますが、2016年に出たローリング・ストーンズの "Blue & Lonesome" ってアルバムがあって、これはストーンズが初めて全編ブルースのカバーをやったアルバムで、当時は結構話題になってました。
自分もストーンズの新譜はずっと追いかけていて、今のところ最後のスタジオアルバムの「ア・ビガー・バン」も、最高のロックンロール・アルバムだ!って思ってたぐらいなんですけど、、、コレ、発売が05年じゃないですか、15年前か(遠い目)、、、"Blue & Lonesome" はずっと気になったまま聴いてなくて、、、発売当時はレコード屋では高い日本盤しか買えないような感じで、その戦略が嫌だなあ、て思ってたのとかあるんですけど。まあ、すぐ値段も下がるだろう(中古が前提)、と思ったまま忘れてて、先日すごい安くなった中古の輸入盤を見つけて買いました。発売からもう4年もたっていたのか、、、
昔なら聴いて、おおーやっぱりストーンズは最高のロックンロール・バンドだけじゃなく、最高のブルース・バンドでもあるのだ!とか興奮して叫んでいる自分が目に浮かぶんですけど、今聴くとただのおやじブルース・バンドにしか聴こえません。
選曲を見ると、2曲ぐらいしか知らなくて、昔ならカバー元まで探して聴いて、さすがストーンズこんなところをカバーで選ぶなんてシブいぜ!とか、感心してたはずなんですけど、、、このタイミングでついにブルースのカバー集なんてすごくいい企画だし、ミックはご機嫌なブルースハープ吹きまくってるし、サイコーもう言う事ナス!なアルバムなはずなんですが、、、キースのギターもロン・ウッドのギターも、意外とブルース的には別に良くなくて。プレイも音も平凡な感じです。チャーリー・ワッツのドラムは、さすがに時々カッコいいですが、曲のエンディングが毎回なぜかダサく感じてしまいます。
それなりに楽しみにしてたはずなんだけどなあ、ストーンズのブルース、、、ここで自分がかつてハマったブルースについて考えてみたら、むしろ今だとトラップの人達のほうが共通点があるような気がしました。ま、こんなふうに無理矢理こじつける必要も需要も1ミリもないんですけど。
かつてP-Vineが復刻してた戦前ブルースの人達の宣伝文句が、今のトラップの人達に似合いそうなんですよね。みんな1人1芸的な強い個性、キャラクターで。「シカゴのドリル野郎!」とか「アトランタの変態魔術師!」とかね。「フロリダの重戦車」、とか「ニュージャージーの切り裂き魔」とかいそうじゃないですか、「メンフィスの暗黒大魔王」とか。
ブルースではギターが重要ですけど、結局のところはギターじゃないんですよね。声というか歌というか、あと歌詞とか。そういうところも似ているような気がします。
高橋竹山の本を読んだ時、今で言うとツアーですか、演奏の旅のところで、三味線がだんだん壊れていって、応急的に修理して使いながら旅を続けるんですけど、最後は壊れすぎてもう全然使えなくて、手に入れた笛を吹いて歌ったり、もう手ぶらで手拍子で歌だけだったりして、そうなっても演奏を続ける気迫というか選択の無さにちょっと感動したんですけど、戦前ブルースの人達の図書館アーカイブが公開された時に、結構みんなギターだけじゃなくて、サンハウスとか手ぶらで歌ったりして、レッドベリーとか喋ってるんだか歌ってるんだかわかんないような感じだったりして、それ見てああ、竹山と同じだ、と勝手に納得したことがあったんですよね。それと同じような感じを、今のトラップの人達に感じる時があります。
こう考えてみたら、ちょっと楽しかったです。特に結論みたいなものはありません。