ブラック労働体験記①地方スーパー新入社員時代編「そこは魑魅魍魎の巣窟!」
こんにちは、Mかんぱちです。
このnoteでは、僕が今まで実際に体験したブラック労働体験をご紹介したいと思います。
スーパーマーケット入社と研修
僕は2007年4月に、関西のとある大手チェーンスーパーに就職しました。
就職のときはリクナビやマイナビなどの大手サイトに掲載されており、しっかりSPI試験を経由して、一次面接・最終面接をきれいなオフィスで受け、無事内定を頂いたのです。
入社してからは1か月ほど、本社で研修がありました。
接客訓練:口角上げて「いらっしゃいませ」などの練習。お辞儀の角度、手の置き方…何やかんややってましたね。
座学:会社の組織説明や、エライ人の話をただただ座って聞く。良い子守唄であった。
店舗実習
そして5月、店舗実習がはじまります。
スーパー業界の売り上げの柱である、「青果」「魚」「肉」「惣菜」を一週間ずつ経験し、その後人事部は「本人の希望」や「会社の人員状況」を加味して最終的に配属部署を決定します。
Mかんぱちが実際に各部署の実習を経験してどうだったか。
「青果」
荷物が重たかった。しかし、バックヤードの植物の匂いは、呼吸を楽にさせてくれ、悪くないと思った。
印象的だったのは、子会社から出向してきたM田さん。
「〇翼団体の塾長」という裏の顔を持ち、
「Mかんぱち君~僕〇翼の塾長やってるんよ~。何か嫌な事されたら僕に言ってね~。〇翼のステッカーあげようか?」
普通にいい人だった。〇翼のステッカー、今考えたらもらっときゃよかったな。
「魚」
実習先のチーフを含め、スタッフが皆良い人だった。
魚。その磯の臭い。先輩社員が見せてくれた「ハマチ」の捌き。えぐりだされるエラと心臓、あふれ出す「生命」のエネルギー。
包丁。その光沢と金属特有の冷たさ、そして一歩間違えるとすなわち「死」に直結する事への緊張感。
「この道は、僕にとってはありかも知れない」
運命的なものを感じた。
結果的にその後10年以上、魚との付き合いがある事を考えると、ターニングポイントとも言える貴重な経験だった。
「肉」
肉の臭いとは僕は相性が悪く、なんとなく気分の悪い状態で一週間を過ごした。
しかもお肉のチーフの人間性が最悪で、実習生を自分の売り上げ達成のための「駒」としてこき使おうとし、慣れないオートパッカー機に立たせ、四苦八苦する僕に対して
「遅い遅い!情けない奴やな!」
と怒鳴り散らすなど、地獄であった。
これほど「早く終われ」と思った一週間は無かった。
「惣菜」
揚げ物の製造をする場所。バックルームには油が充満しており、すぐに気分が悪くなった。
この場所で働いている自分が想像できなかった。
結果、「魚」の部署を第一志望とし、志望通りに配属されることとなった。
魚捌きの才能の無さを実感
5月の最終週と6月の第一週は、本社で魚捌きの「新入社員技術研修」が行われた。
包丁の事を学んだ。捌きにメインで使う「出刃包丁」、刺身など繊細なカットに使う「柳刃包丁」の二つをこれから駆使していかないといけない。
魚を学んだ。アジ・スルメイカ・イサキなどの小型の魚から、ヒラマサ・カンパチなどの大型魚まで、実際の魚を使って、特徴と捌き方を学んだ。
そこで僕、Mかんぱちは気づいた。
「あ、俺、めっちゃへたくそだわ…」
決定的に手先が不器用だったのだ。
才能がない。致命的に。
それでも僕は、「手に職をつけたい」という思いがあり、インストラクターも「不器用でもどうにかなる」と勇気づけてくれたので、あきらめずに魚の世界で頑張っていこうと決めた。
そしていよいよ店舗配属。地獄の始まり。
6月中旬。O店への店舗配属が決まった。
自宅から自転車と電車を使って一時間の所のSC(ショッピングセンター)店舗である。
本配属一週間前に、店舗に挨拶をしに行った。
ここがO店か…売り上げナンバーワンで忙しいらしいな…
店長への挨拶を済ませ、直属の上司である魚部署チーフの元へ挨拶しに行った。
僕「すいません、チーフいらっしゃいますか?」
チーフ「おう」
身長170cmくらいで「ずんぐりむっくり」の体形。鋭い眼光。過剰に刈り上げられた髪の両サイド。
Mかんぱち「このたび配属となりました、Mかんぱちと申します。よろしくお願いします!」
チーフは僕をギロリと睨み付け、ダミ声で一言こう言い放った。
チーフ「お前、根性あるか?」
僕は震え上がった。これから地獄の日々が僕を待ち受けている。覚悟した。
チーフは二言目にはこう言った。
「ワイ、口悪いからよ、まあそこんとこわかってくれや」
ん?それは「暴言を吐くけど、悪気はないのでご容赦下さい」という意味なのか?
やばいな…
そして配属初日。
タイムカードを7時前に切る。
作業場へ向かう。
僕「おはようございます!」
チーフ「おうおはよう」
最初の仕事は、金属のカゴ台車で搬入された、魚の荷下ろしの手伝いであった。
チーフは矢継ぎ早に僕に指示を出す。
対して僕は、口頭のコミュニケーションが致命的に苦手だった。
チーフは僕に一言言い放った。
チーフ「殺すぞ」
僕は死を覚悟した。これが社会の現実かと。
僕の社会人デビューは、このように「明るさ」「楽しさ」とは真逆にあるものであった。
続く