どんな境遇も受け入れる◆順境も良し、逆境もまたよし
思いもよらない境遇に置かれたら、だれでも、”怨み節”が口をついて出ることになるでしょう。
仏教の「諸行無常」という言葉は誰でも知っているでしょう。
この世の中のありとあらゆるものは常に移ろいでいて、一瞬たりとも、とどまっていることはない、という意味です。
私たちはいつも変化の中で生きています。
しかし、そうは言っても、良い変化は喜んで受け入れる一方で、悪い変化は受け入れがたい、というところがあるのも事実。
しかし、そこでいくらクサろうが、クヨクヨしようが、境遇が変わることはありません。
それどころか、マイナスの気分だけがどんどん高じていきます。
嘆きのスパイラル、怨みのスパイラルが起きて、心は負の袋小路に入ってしまいます。
こうは考えられないでしょうか。
どんな境遇にあっても自分を生かすことはできる、そこでの経験が、将来、飛躍のバネにもなるし、生きる糧にもなると。
ここで松下幸之助さんの言葉を紹介したいと思います。
「逆境もよし、順境もよし、要はその与えられた境遇を素直に生き抜くことである」
素直に生きていたらよい境遇も悪い境遇もないのです。
そこにはただ、一生懸命に生きる「場所」があるだけです。
禅ではこう言っています。
「日日是好日」
これは毎日が良い日ばかりだという意味ではありません。
人生には晴れの日もあれば、雨の日もある。
穏やかな日射しに包まれることもあれば、吹き付ける寒風に身をすくめることもあります。
しかし、いずれの日にも、あなたはその日でなければできない実体験をする、かけがえのない経験を積む。
ですから、すべてが有意な「好日」なのだ――というのがこの禅語のいみするところです。
境遇があなたの生き方を左右するのではありません。
あなたの生き方によって、境遇はどんなものにでもなるのです。