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【観た/2022年16本目】映画「アイダよ、何処へ?」観ました。
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【感想】
戦争とはいつ始まり、いつ終わるのか。
また、無関心の行方と責任とはなにかを深く、抉り取る力作中の力作でした。正直この「今日」(執筆現在:2022年3月)に観るのはリアルすぎて心に重く、ためらいの気持ちのほうが強かったのですが、「世界に関わる一人の市民」として、覚悟決めて鑑賞しました。
まずストーリー。
“BASED ON TRUE STORY”とはまさにこのこと。
二次大戦後のヨーロッパで行われた最大の虐殺(ジェノサイド)を、まさしく市民目線から撮影。
混乱の中で正解を導き出すことの難しさ。
要所要所で挟み込まれるセルビア人のボシャニク人に対する憎しみの原因等、正義の危うさ。
信仰が恐怖に飲み込まれていく敗北感。
多様な民族によって構成されていたユーゴスラビアがいかに危ういバランスで保たれていたか。
「二人目のチトー」がいなかったことの悲劇を見事に再現していたと思います。
演出的にも観るべき点が。
例えばキャスティング。
主演はユーゴ出身、敵役はその実の夫だったり。非常に示唆的です。
また、抑えに抑えた演出で残虐なシーンをギリギリまで排除し、
監督の意図、「見捨てられた世界」の内側を映し出しています。
誰も助けに来なかった。
誰も助けにならなかった。
誰も関心がなかった。
人々の無関心が狂気を加速させていく様は直視ギリギリでした。
さて。
2022年3月現在。
世界は、TVショーで、SNSで、戦争を眺める時代になりました。
部外者を決め込むことで身を守る術も進化しました。
スレブレニツァの悲劇からも何も学ばず、
過去の数多の戦争の悲劇を忘れ、
今日もまた、
ウクライナで、シリアで、ミャンマーで、ここであそこで。
戦争。
それは昨日楽しくおしゃべりしていた友人同士が狙撃のスコープ越しににらみ合い、弾幕の向こうで血を流し、「8000人以上がなくなった」とかいうアバウトな数字に溶けて名を失う事。
戦争。
それは憎いと思い武器を持ち、憎しみを抱えて死ぬまでの時間。
無関心を決め込み、他人事にしてしまうのはもはや加担者。
「戦争反対」と心から、のど張り裂けるまで。
その意志を高めてくれた映画だったと思います。
【評価点・つけるとしたら】
☆4.2です。