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[OldCityBoy的「映画」考察] 波止場(1954) ➡いろんな意味で"ゴッドファーザー"の若かりし映画
"ゴッドファーザー"のドン・コルレオーネ役だったマーロン・ブランド主演の映画です。
自身は、子供のころ見たドン・コルレオーネがあまりに衝撃的で、ずっと忘れられないのですが、そんなドン・コルレオーネというかマーロン・ブランドにも若い頃があったのね…、な映画でした。
しかもギャング映画なので、どうしても"ゴッドファーザー"と比べてしまうのですが、まあ予算や技術も違うので敵うわけもなく、そんな意味で、いろんな意味で"ゴッドファーザー"の若かりし映画、としました。
演出的には、鳩を使う手法や、重大告白において汽笛を被せてセリフがほぼ聞こえないようにして逆に場面を印象付ける手法、など良い意味でのわかりやすい演出が色々施されています。
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ごめんなさい、ここから辛口です。
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1954年のアカデミー賞を取ったことに全く異議はないのですが、この手の社会派映画はどうもストーリーが読めてしまい、個人的にはあまり好きではなく…
また、マーロン・ブランド独特のなんとも高い緊張感を生み出す演技は"欲望と言う名の電車"の方が光っており、自分はこちらの映画の方が好きです(同じ監督ですが…)。
演出に関しても、告白を受けた後ヒロインが悲壮な表情で走るシーンは、D.W.グリフィスの"國民の創生"をオマージュしたものかもしれませんが(この映画の監督の他の作品を見る限り、この人、D.W.グリフィスの追っかけです)、そうなると"國民の創生"と比べてしまうわけで、そうなるとこの偉大な映画に勝てるわけもなく…
と辛口コメントを書いてしまいましたが、その当時はビデオがあるわけでもなく、今みたいにネットでいつでも古い映画を見れるわけでもないので、当時"國民の創生"を知っているのは一部の映画マニアだけなはずで、オマージュするだけでも随分斬新なことだったのかもしれません。
1915年から始まる約40年間の主要な映画を見てきたからか、自身の映画を見る目が肥えてきたのかもしれず、最近は感情が震えることなく淡々と映画をみるようになってきてますが、なんとなく自身のピンポイントはニューシネマ(1960年代後半から1970年代半ば)かな~、と勘ぐっており、今年中にそこまで行けるように順次進めていこうと思います。