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[理系による「映画」考察] オール・ザ・キングスメン(1949) ➡リスクを取って政治を批判するという行為を始めて映画化したことが評価されたのかな...

権力に固執することによる悲劇的な最後、を演出した映画になります。

ただ、ストーリーの演出に無理がある気が…。具体的は、"勝ち方さ"、というセリフと共にダークサイドに落ちる瞬間で、それが急すぎて、展開が早すぎない?、とツッコミを入れました。

権力に固執することによる悲劇的な最後、をエンタメ化しているので、ダークサイドに落ちるくだりは端折っても映画的には楽しめるのですが、なぜサニーサイドだった人間がダークサイドに落ちたかの背景説明をもう少しすると、映画としても深みがでて良かったかなと。

結局、役者の演技力でごかまされてますが、ストーリーとしてはそれほどひねりもなく、ある意味普通で、独裁者を描く演出としては"市民ケーン"の方が良いです。

が、上記の評価は、当時の時代背景を知らない自分だからであって、当時はかなり斬新だったのかもしれません。つまり、リアリティを感じれる当時の政治家を批評した初めての映画だったのかもしれず、リスクを取って政治を批判するという行為を始めて映画化した、つまり、表現の自由を映画という分野でも体現した、という観点で評価され、アカデミー賞受賞に至ったのかなと考えています。

少し調べてみると、この映画が作成された1949年は中華人民共和国が成立した年でもあり、共産主義の台頭が目立つ中で、政治批判な表現をすること自体がセンシティブな状態だったのかなと想像でき、それでも自己の表現としてのエンタメ映画作製・公開を貫いたその勇気も込めてアカデミー賞が贈られたのでしょう。

1915年の"國民の創生"から始まった長編映画という産業が、35年経ち、政治批判的なことをパブリックに公開できるメディアようになったのか、と思うと(そしてさらに進化する)、この産業自体がなかなか興味深いな~、思いながら毎週映画考察を書いているゴリゴリ理系でした。







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