[理系による「映画」考察] シン・仮面ライダー(2023) ➡"オタクの心象風景の再現"という、今までの映画にない新しいジャンルの誕生
Amazon Primeで公開になったので、観てみました。
面白い・面白くない、は、さんざん語られてきたと思うので、いつも通り、別の切り口で考察します。
そもそも、この映画をどう観れば良いかですが、通常のアクション映画として観ると失敗します。なぜなら、この映画は、"オタクの心象風景の再現"という、今までの映画にない新しいジャンルだからです。
具体的に説明する前に、まず自身の仮面ライダーに関する体験から。
自身が子供のころリアルタイムで見た仮面ライダーは、下記の"スーパー１"でした。
もちろんそのころは子供なので、この"スーパー１"は大好きで、一番印象に残っているのは(というか、そこしか記憶にないのですが)、最後の戦いに際して、ラスボスが無敵になる液体(光線だったかな…)を全身にかけて、無敵になり、仮面ライダーに戦いを挑むも、無敵になる際に、たまたまペットの鳥が肩に乗っていたため、そこだけ液体がかからず、そこが弱点となり、ライダーキックにてに敗れる(確か)、といった下りです。
なるほど！油断大敵！、と子供ながらに感動し、今でも強く印象に残っているのですが、監督の庵野さんレベルになると、こんなもんじゃない深さで当時の仮面ライダーに感動し・愛し、その詳細に関する記憶は半端ないものがあると思われますが(所謂オタク王)、この”シン・仮面ライダー”は、庵野さんが子供だった時に強く感動したシーンを、つまり心象風景を再現した映画になります。
よって、庵野さん世代の方たちは、
・そうそう！、これこれ！
・あれ、こうだったけ？
な、ことを感じながら、当時のころに戻って、ワクワクして観るわけです。
よって、自分たちの世代だと、シン・仮面ライダースーパー１、という映画に相当するもので、上記のラスボスの下りを、仮面ライダースーパー１を愛してやまないオタク監督が、映画として再現したものを観るようなものです。
なので、この映画は、俺はここに感動したんだ！！！、を披露するという、オタクな自身を世間にさらけ出す映画なのです。
なので、マスに受けないことはある程度想定済みで、分かる人だけ分かればいい、の割り切りもあるはずです。(ある意味、オタク選別映画)
このような映画を作り出した背景は、
・シン・ゴジラで評価を得た
・シン・エヴァで揺るがない評価を得た
・オタク自体が市民権を得て、差別されないようになった("ダイコンフィルム"の時のオタクに対する差別は凄まじいものがあったと予想)
があり、シン・ゴジラにある「私は好きにした、君らも好きにしろ」のように、もう周りを気にせず、好きにしだしたんだと思われます。
だって、いい大人になってもウルトラマンや仮面ライダーへの愛が強すぎて、変身ポーズをいまだにやったり・フィギュアを捨てられない人って、一般的に気持ち悪くないですか？
しかし、"シン・仮面ライダー"は、その愛を隠さず出す映画なのです。
よって、リメイクではなく、心象風景の再現であり、一般的な映画にある監督の幼いころの美しい自然の心象風景の再現ではなく、オタク独自の心象風景であり、オタクがゆえに差別されていたことも踏まえて、監督自身の恥部を世間にさらけ出す、という、今までにないジャンルの映画なのです。
恐らく、今後も好きにしだすと思うので、こんな映画をどんどん作っていくと思いますが、個人的には、好きにしだした庵野さんが、今後どんな映画を作るかが、映画そのものよりも、非常に気になるところです。
ちなみに、庵野さんのお師匠さんの宮崎さんも、いよいよ好きにしだして、結果出来たのが下記なのですが、それは次回考察します。