マガジンのカバー画像

映画

85
[映画]記事を年代順にまとめたもの
運営しているクリエイター

#理系

[OldCityBoy的「映画」考察] ティファニーで朝食を(1961) ➡脚本・演出・ファッション・題名、と全ての要素でお洒落を極めた名作

今っぽく言うと、港区女子からの解放、がテーマですが、あらゆる要素がお洒落に演出されており、名作です。 あらゆる要素がお洒落過ぎるので、1つずつ説明していきます。 ■ファッション メンズファッションを言葉で表すならば、ザ・トラッド、になり、具体的に言うと -全身グレーのセットアップに黒いニットタイ -ブレザーにスラックスにレジメンタルタイ が代表的なところです。 この、ザ・トラッド、を新しく解釈したのがトム・ブラウンですが、そのぐらい現在のメンズファッションの原型とも言う

[OldCityBoy的「映画」考察] 恋の手ほどき(1958) ➡"ローマの休日"をカラーにして、さらにポップにしたお洒落映画、そしてフランス絵画のオマージュあり

"ローマの休日"をカラーにして、さらにポップにしたお洒落映画、の印象でした。 ただし、ただ"お洒落"なだけではなく、フランス絵画的のオマージュを入れており、ただのお洒落映画ではない!、な意図も見え隠れします。 分かりやすいのは、出てくる部屋が真っ赤であることです。この色彩どっかで見たことあるな~、と記憶をたどってみるとマティスでした。 ということで、芸術的な絵画要素のある教養も含んだ映画だ!、がメッセージとしてあるのでしょう。 ということでよくよく見てみると、 ルノア

[OldCityBoy的「映画」考察] 戦場にかける橋(1957) ➡意外にも日本的"諸行無常"な映画、黒澤明の影響かな?

名作です! ハリウッドらしい大予算をかけた側面でも楽しめますが、意外にも無常観的な哀愁を感じさせる、俗にいう"諸行無常"を感じさせる、どこか日本らしい映画です。 "日本"なるものをハリウッド映画に含める場合、大体間違ったものとなりがちで、 ・ちょんまげ、芸者 ・それは中国ですよ… ・眼鏡でスーツで個体差なし(80年代の映画) なことが多々見られるのですが、この映画ではそんなことはなく、ちゃんと"日本"が描かれてます。 特に、"早川雪州"演じる大佐の部屋が、ちゃんと"茶室

[OldCityBoy的「映画」考察] 八十日間世界一周(1956) ➡カラー映像なる技術革新により、今後の映像表現が変わることが確信できる映画

Wikiによると、日本で海外旅行が一般に普及したのは1964年以降だそうです。よって、この映画が公開された1956年当時は、日本だけでなく世界でも海外を旅行するなんて夢のまた夢だったように思われます。 ただし、海外の情報は入ってくるはずで、 ・ロンドンの近衛兵な風景 ・パリの風景 ・スペインのフラメンコ・闘牛 ・アジア・インド・中国・日本の風景 ・アメリカの風景・インディアン のような今も観光の目玉となる上記は皆憧れたものと思われます。 そんな皆の憧れを、当時の最新技術で

[OldCityBoy的「映画」考察] グランド・ブダペスト・ホテル(2014) ➡"シャイニング"に"チャーリーとチョコレート工場"を混ぜてお洒落なブラックコメディにしてみました映画

POPEYEを目を皿にして読んでいる妻から見てほしい、と言われて年末年始にみてみました。 ミクスチャー(色々混ぜた)映画で、映画の冒頭でそんな映画であることを自ら宣言しています。 ということで色々混ぜてますが、ベースは"シャイニング"と"チャーリーとチョコレート工場"ですかね。 やってみたかったことは、 "シャイニング"をお洒落なブラックコメディにしてみる でしょうが、具体的に、 絵を左右対称にして人間に違和感や緊張感を与える"シャイニング"の手法に、"チャーリーとチョ

[OldCityBoy的「映画」考察] ジャイアンツ(1956) ➡ジェームス・ディーンがこの撮影直後に亡くなった理由がなんとなく分かる映画

アメリカ合衆国の歴史をドラマチックにたどる大河ドラマな映画で、悪くない映画ですが、とにかく長い…(約3時間半)。 そんな長い映画でスパイスになるのがジェームス・ディーンの演技になるのですが、それを観ていると、この撮影直後に亡くなった理由がなんとなく分かったので、それを解説しますね。 この映画自体はアメリカの大河ドラマなので、主人公の20代前半から老人になるまでを辿ります。よって、役者としても若者から年寄りまで演じる必要があります。 そんな条件下でのジェームス・ディーンで

[OldCityBoy的「映画」考察] エデンの東(1955) ➡非モテ・オタク気質・コミュ障男をアート的に描いた名作

ジェームス・ディーン初主演の映画です。名作です。ベースはシェイクスピア悲劇ですが、神話等、色々な要素を非常にうまくミックスしており、全部語ると長くなるので、今回は主人公のキャラクターとジェームス・ディーンに関して考察します。 この映画、名作であることに間違えなくのですが、ジェームス・ディーン演じる主人公を客観的に見れば見るほど、う~む、キモイ。 筋肉質で、エネルギーが抑えきれない、あるあるな反抗期ヤンキーに見えますが、本質的には、非モテ・オタク気質・コミュ障、な男です(映

[OldCityBoy的「映画」考察] 宮本武蔵(1954) ➡漫画"バガボンド"を映像化したような映画(当然、順序は逆ですが)

1954年のアカデミー賞(名誉賞)を受賞したとのことで、見てみました。 https://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B00ZZ0OBKA/ref=atv_hm_hom_c_TEdR0r_2_2 あの"バガボンド"を映像化したような映画でしたが、当然順序は逆で、この映画を井上雄彦さんが漫画化した、と言う方が正しい表現です。 漫画を映画化する(そしてがっかり)、 はよくありますが、 映画を漫画化する、 は自身は聞いたことがなく、そんな意

[OldCityBoy的「映画」考察] 波止場(1954) ➡いろんな意味で"ゴッドファーザー"の若かりし映画

"ゴッドファーザー"のドン・コルレオーネ役だったマーロン・ブランド主演の映画です。 自身は、子供のころ見たドン・コルレオーネがあまりに衝撃的で、ずっと忘れられないのですが、そんなドン・コルレオーネというかマーロン・ブランドにも若い頃があったのね…、な映画でした。 しかもギャング映画なので、どうしても"ゴッドファーザー"と比べてしまうのですが、まあ予算や技術も違うので敵うわけもなく、そんな意味で、いろんな意味で"ゴッドファーザー"の若かりし映画、としました。 演出的には、

[理系による「映画」考察] ローマの休日(1953) ➡罪がないお洒落映画

自身の父は"アルプス少女ハイジ"が好きだそうです。理由は聞いたところ"罪がないから"とのことですが、この、罪がない、の言葉自体が自身は好きで、映画や漫画を紹介するときに良く使います。 ここで言う、罪がない、とは、ダークサイドなところがない・心安らかに見れる・子供とも安心して見れる、という意味です。 と、前置きになりましたが、この映画は、全く罪がない映画です。 ロダン "地獄の門" ↓ 映画 "地獄門" と地獄・地獄と連続して"罪がある"モノが続いていたので、いい加減、罪

[理系による「映画」考察] 真昼の決闘(1952) ➡男前の仕上がりっぷりが分かる映画

若いころ色男と言われた男前が、50代になるとどのように仕上がるか分かる映画です。 具体的には主演のゲイリー・クーパーのことを言っていますが、彼が世に知られたのは下記の"モロッコ"です。"モロッコ"は、個人的にはマレーネ・ディートリヒが妖艶過ぎて、ゲイリー・クーパーの何が良いのかさっぱり分からない映画でしたが、実際はマレーネ・ディートリヒの相手を務めるほどの男前だったようです(191cmですし…)。 そんな色男が50代になるとどうなるか?、が分かるのがこの"真昼の決闘"です

[理系による「映画」考察] ゴジラ-1.0(2023) ➡"シン・ゴジラ"の後ゴジラを作ったことに賛辞を贈る

冒頭からカッコよく、2時間があっという間に過ぎる、とても見やすい映画でしたよ。 で、自身が賞賛したいのは、映画の内容よりも、"シン・ゴジラ"の後にゴジラを映画として作った山崎貴監督の勇気、になります。 "シン・ゴジラ"と比較されるのはもう明白で、庵野監督と比較されると思うと自身だったら絶対にやりたくないです…。それでもやり切った山崎貴監督に賛辞を贈りたいのですが、さらに、ヒットさせるために庵野さんに試写会でみてもらって、その後の対談をyoutubeで流すということまでやり

[理系による「映画」考察] 欲望という名の電車(1951) ➡女優を極めると大妖怪に...

1951年のアカデミー賞は"巴里のアメリカ人"で、それを見ようとしていると、そんなんいいからヴィヴィアン・リーを見るべし、と妻から勧められ、2度目のアカデミー主演女優賞作品ということで、女優として、"風と共に去りぬ"、以上に何かありうるのかしら?、と思ってみていたのですが、 妖怪っぷりにさらに磨きがかかってるやん!!! しかも、クラーク・ゲーブル級の相手役でなくても物語をエンタメにできるまでレベルアップしており、マーロン・ブランドが妖怪に立ち向かう勇者にしか見えない始末(

[理系による「映画」考察] 陽のあたる場所(1951) ➡ストーリー自体は悪だが、演出に宗教的な要素を絡ませているので、結果、感情がうまく処理できず、なんとも後味が悪い…

なんとも後味が悪い映画で、これほど後味の悪い映画はデヴィッド・フィンチャーの"セブン"以来でした。 が、"セブン"もそうでしたが、後味が悪い分、印象に強く残ってしまい、一生忘れることができなくなりそうな映画です。 ざっくりした流れは、下記となります。 1. 社内恋愛は禁止であることを事前に認識しているはずなのに、平然とそのルールを破り、妊娠させる。 2. 出世と、身分の高い・より美しい女性との結婚のため、妊娠した女性が邪魔になる。 3. その女性を殺そうとするも、事故か他